本当にこの人捕まってくれないかな、警察に。 「おかえり」 出先から帰ってくると玄関で臨也さんが両腕を広げて待っていた。 「帰ってください」 「ちょっと帝人くん、おかえりのキスとハグとそのまま夜の展開を何度もシュミレーションして待ってた俺に対してその冷たい態度は酷くない?」 「何がどう酷いんですか。むしろ不法侵入されて意味のわからない妄想を聞かされる僕が可哀相です」 靴を脱ぎ臨也さんの足を床に擦り付けるように踏んでから部屋に向かう。途中骨が軋む音がしたけど気にしないことにした。 「大体僕の家に来る暇があるなら仕事してくだ……さ………」 いつもみたいに長々と悪態をつくはずが、臨也さんが後ろから抱きしめるなんてことをするから驚いて何も言えなくなる。 伝わる温い体温と鼻につく香水に心臓がうるさい。 「帝人くん、帝人くん、帝人くん」 何度も呼ばれる声が首筋にかかってぞくぞくする。そういえばこうして会ったのは二日ぶりだと思い出したとこで 「やっと会えた」 臨也さんのこの一言を聞いた。 正直、恋愛経験がゼロに等しい僕はここで何をすればいいかわからなかったけれども、とりあえず 「そうですね」 と言葉を返してお腹のあたりで交差する彼の手に自分の手を置いてみた。 待ちわびた瞬間 (「僕も会いたかったです」そう言えば貴方はどうする?) |