―夢を見た。 「明日から夏休みか!俺のゴージャスでデンジャランスな夏休み、待ってたぜ!」 「目を輝かせているところ悪いけど、ちゃんと宿題やりなよ」 「なっ、帝人。お前はどうしてそう楽天的に物を考えないんだ?」 「正臣は楽天的すぎるんだよ」 「褒めてもなにも出ないぞ」 「褒めてないから。最終日に泣きついてこないでね」 「大丈夫大丈夫、31日は帝人のために空けておくぜ」 「会話がかみ合ってないんだけど」 「あーもう気にするな!そうだ、せっかくだから夏休みの計画立てるか!今年は帝人も杏里も居るし、楽しくなりそうだな!」 そう言って僕の手を引いて走り出す正臣の笑顔につられて僕も笑った。握られた手から伝わる体温に何故か心がくすぐったくなったっけ。 「お前ら花火振りまわすな!危ないだろっ」 「やだードタチン怖い」 「そばに居る竜ケ峰が危ない」 「さっきから門田さん帝人くんの事心配しすぎっすよ」 「…もしかしてドタチンってみかプーのこと」 「ちょっと待て、どうしてそうなる」 「門田さん、僕大丈夫ですよ」 「なになに?みかプーはドタチン相手なら大丈夫ってこと!?」 「え」 「まさかの展開っすね、狩沢さん」 「お前ら〜〜〜!!!」 空が澄みたくさんの星が見えた夜。僕と門田さん達で花火をやった。 経緯はよく覚えていないけど、狩沢さんにからかわれて赤くなる門田さんが可愛くて僕は失礼ながらもつい言葉にしてしまったのを今でも覚えている。 その日の帰り道。臨也さんがあるものを持って待っていた。 「あれ臨也さんそれ…」 「うん、花火。俺も懐かしくなってやりたくなったから付き合ってよ」 「僕今やってきたんですけど」 「知ってるよ。でも俺には関係ないからね」 強制的に廃墟ビルの屋上へ。 「見てみて!帝人くん」 一日に二度もやれば飽きてきて、僕は静かに座っていると臨也さんが火を放つそれを操りながら「みかど」と名前を消えてゆく文字で紡いでく。 「さっきの続き」 フッと笑って書いた二文字は「すき」と書かれていて、男二人で何してんだかそう思いながらも深夜に浮かぶ光をどこか楽しく感じていた。 結局朝まで付き合わされて朝方池袋を歩いていると 「帝人」 知った声で振り向けばそこには静雄さんが。 「おはようございます」 「なんだ?寝不足か?」 「まあ」 正直に言えば更に厄介事に巻き込まれそうな予感がしたので曖昧に濁して笑みを浮かべると 「うわ」 体ごと抱き寄せられて「臨也の匂いがする」と言われて冷や汗をかいた。 しつこいぐらいに問い詰められたから仕方なしに応えるとやっぱり。 「俺も帝人と花火してやる」だなんて意味がわからない理由でその日の夜、セルティさんや新羅さんも交えて連続して三度目となる花火を行った。 「んっ」 そして僕はそこで目を覚ました。 秋を感じさせる夕暮れ。随分と風も冷たくなった。 去年とは正反対の夏。想像しえなかったたくさんの思い出。 もしかしたら、これから訪れる季節もあの夏の日のように鮮やかに染まるのかもしれない。そう考えたら、夢から覚めたせいか、少し切なくなった気持ちがじんわりと温かくなった気がした。 Recollections not fading (さようなら、夏。そして、いらっしゃい秋) DEAR 巡様 (帝人総受け) ▽大変お待たせして申し訳ありませんでした!もう秋だよ、バカヤロー!ほんとすいません(土下座)総受けなのか疑わしい…。とにかく帝人くんと絡むみんなが書きたかったです…!!書きなおしなどなんでもお申し付けください! |