drrr!! | ナノ


静かすぎるこの部屋はどうも居心地が悪い。気を紛らわそうとつけたテレビの音は右から左。結局静かだなあ。なんて思ってしまう自分。普段ならとっくに寝ているところだが今日は全くと言っていいほど眠くない。どうしたもんか、と場所を寝室に移動してひとりでは広すぎるベッドに身を沈めた。

寝たい、寝たい、と思えば思うほど脳も体も言うことを聞かずわかりたくもない事実へと導く。


臨也さん、

まだ帰って来ないんですか?いつもなら僕が早く寝ろってくっついて離れない貴方を叱るじゃないですか。夕飯だってハンバーグが食べたいって煩いから用意してたのにもう冷めてますよ。大体帝人くんと一緒に居たいから仕事終わったら真っ直ぐ帰ってくるって言った臨也さんはどこ行ったんです、嘘つき!

ふと目に入った彼の枕を平手で叩く。もう一度叩いて自分の腕の中へと引き寄せた。顔を埋めると使用者の香りがしてそこではっとする。

僕、変態じゃないか!

かっと顔に熱が集まり、同時にどれだけ僕は子供なんだとうなだれた。お母さんが居ないと寝れない子供みたい。けど、半分、いや全部臨也さんのせいだ。毎日人の体温がある側に居ることが当たり前になってしまったんだから。

そうだ、しょうがないんだ、と無理矢理自分に言い聞かせて僕は腕の力を強くした。




帰りの遅い夜




「帝人くん」

寝てるか。そうだよな、もう朝日が昇る頃だ。今日は休みだから早く寝てどこか連れて行ってあげよ…う……って、うわ!何この子!なんて可愛い事しちゃってんのさ!!!俺の枕だよね!そうだ、写真写真!あ、でも。帝人くんに触りたい。そっと枕を取ると何もなくて寂しいのかこれまた珍しく帝人くんから俺に抱き着いてきた。頭を撫でてやると気持ち良さそうに寝息をたてる。起こさない様に抱きしめて唇をくっつけて、ああなんか幸せだ。柄にもなく噛み締めながらあったかい体温に誘われて俺は意識を手放した。