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他愛もない話をしていた。機械を通して耳に届く声はとても優しい。

「おやすみ」
「おやすみなさい。また明日」

電源ボタンを押せばいつもの画面。何となく着信履歴とリダイヤルの履歴を見れば貴方の名前ばかりだった。



物音を立てないよう静かに外へ出る。寝る格好に羽織っただけのパーカーと足元はいつものスニーカー。ぽつりぽつりと電気のつく住宅街。自分の足音だけが聞こえてる。

見えてきた公園のベンチに座って空を仰ぐと昼間には見えないたくさんの星が綺麗に輝いていた。



「雲雀さん………」



電話で声を聴いたら逢いたくなってしまった。けどこんな遅くに我が儘は言えないからもう少ししたら帰って寝よう。そう考えてた時、手の中にある携帯が震えた。ディスプレイに記された名前に驚く。


「どうしたんですか!?」
「眠れないんだ」
「雲雀さんもですか?俺も寝れなくて」
「そう。ならちょっと散歩しない?」
「いいですよ。何処に行けばいいですか?」
「そこに居て」


一方的に切られた電話に首をかしげた。とりあえず家に帰ろうと立ち上がると今ここに居るはずのない人がこちらへ向かって歩いてくる。


「え…嘘」


それは逢いたくてしかたなかった人物。


「逢いに行ってたたき起こそうと思ってたのに残念。君も起きてたんだね」
「電話の後……もしかして」
「うん。君の家に向かってたよ。まさかここで見つけるとは思わなかったけど」

僕は君に逢いたくて眠れなかった。君は?

手を差し延べて問う彼に「俺も逢いたかったです」と手を伸ばした。





以心伝心
(繋ぐのは赤い糸とでも言っておこうか)