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一方通行の愛はなんて詰まらないものだろう。



厭らしい音と彼の上擦る声。二人が重なるソファの下には白と黒の服が雑に散らばって、外から差し込む月明かりが唯一この応接室の光として存在する。

「もう無理」そんな言葉聞き飽きた。(欲しいのはたった二文字)

「キスマークなんて付けないで」知ってるよ。所有者はあいつ。(でも少しぐらい我が儘させて)

「この腕はどかせない」目を隠すのはこの行為が後ろめたいから?(僕が抱いてるって焼き付けてよ)



「骸」



嗚呼、君の想い人が心底憎い。(悲しいぐらい僕を見ないね)



始まりは彼があいつの居ない現実に堪えられなくなったあの日から。

誘ったのは僕。

偽りだろうが関係ない。君が欲しい。ただ、その欲で手を出した。

間違いだったとは思わない。でも何度抱いたって、何度愛を囁いたって、僕はあいつなんだ。僕にはなれない。

それでも終止符をうてないのは君の優しさに触れて、温もりを感じてしまったから。罪悪感でくる優しさだってわかってる。それでも僕は嬉しい。赤い唇に惑わされて白く柔らかい肌が熱を持てば勘違いでもその反応にたまらなくなる。



「こんなこともうやめましょう」
「どうして?」
「だって…俺は雲雀さんじゃなくて骸が……」
「またその話?僕のことは気にしないで。気まぐれでやってるだけだから」



本心を伝えれば君は僕に遠慮していなくなる。それだけはだめ。許さない。

君はあいつのもので、僕は今あいつだから、


君は僕のもの。






一方通行の愛なんて詰まらない。それでも君をあいしてる。




道化者の滑降的求愛論
(あいつを消せば君は僕を想ってくれる?)