▼ 臨帝
※帝人性転換。臨也の後輩パロ
ホームルームが終わり、教師が教室の扉に手をかけた瞬間反対側の扉が勢いよく開き、ひとりの黒髪の少女が飛び出した。
(早く、早く、はやく逃げなきゃ!)
もつれそうになる足を叱咤して階段を二、三段同時に跳び下り
履いていた上履きを雑に下駄箱へ投げ入れて、また少女は走り出す。
信号の少ない道を選んで薄暗い中をただ急ぎ、短めに折ったスカートの裾が風の悪戯で少しめくれても気にしない。
ようやく見えてきた自分の家に緊張と焦りが和らいで除々に地に足を付ける間隔が遅くなる。
(よかった。今日は…)
荒い息を整え玄関を開けようと鍵を探すと、いつも入れているポケットに入っていない。鞄をひっくり返して探しても見当たらず少女の顔には不安の色が混じる。
(おかしい)
そう思った時だった。
「帝人ちゃん」
その姿を見ていなくてもわかる楽しそうな声。
近づく足音と気配にさっき置いてきた緊張と焦りがぶり返す。
思い切って後ろを振り向けば、やはり彼は笑っていた。
「どうして先に帰っちゃったの?帝人ちゃんのこと探したんだよ」
(嘘、うそ、ウソ)
「急いで追いかけてきたんだけど、なんか困ってるみたいだね」
(汗ひとつかいてないじゃない!息も切らしてないじゃない!それに…!)
彼の左手で光るそれは間違いなく、
「あ、これ落ちてたから拾ってあげたんだ。帝人ちゃんの家の鍵」
少女が探していたものだった。
(やられた!)
そう少女は心で叫ぶ。
相対する彼は怨むようなそんな表情を見せる少女に口の端を持ち上げた。
「やっぱり俺は笑ってる君より今の君の方が好きだよ」
(おにごっこ)
俺から逃げるなんて出来っこないだろ、君なんかに。
▽帝人ちゃんはセーラーがいいです。ブレザーじゃなくて。
2011/08/02 13:54
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