その女性(ひと)の存在に気付いたのは1つ目の信号を越えたあたりだった。

「…さっきから…」

車道をはさんで左隣、自分と同じ方向に、同じペースで歩いている。自分は「歩くのが速い。」とよく言われるのだが、彼女は自分より先にゆく事も無く、遅れてゆく事も無い。
だから気になったんだ。

「どこに行くのだろう」左半身に神経を集中し、彼女の存在を読み取っている。


「…あれ…なんか…」
顔があつくなった。これじゃあまるで恋に落ちたみたいだ。
ただ、同じ方向に、同じペースで歩いているだけなのに、なんでこんなに気になるんだ。
勇気を出してちらっと彼女を見やる。すると彼女は小さく首を振っていた。その時の、さらさらと揺れる栗色の髪を見て、触りたいと思ってしまって、また顔があつくなった。
恥ずかしくなって、雨が上がったのに気付いていたけど、もし彼女に見られたらどうしよう、雲間から覗く太陽から隠れたくて傘は差したままだ。

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