fiction | ナノ
◎変態な黄瀬君

「名前っちおはよう。」
「…おはよう黄瀬君今日も元気な頭だね。」

登校中黄瀬君の声が聞こえた。幻聴かと思い後ろを振り向いたがそこには声のとおり黄瀬君の姿があり,なんで彼がいるのかと疑問に思い聞いてみると,今日はバスケ部の早朝練習は珍しく休みとのこと。バスケのことに関してはストイックな彼がどうして呑気に遅い時間,私にとっては通常時間だが,登校中の生徒に紛れ一緒になって登校しているのかと疑問に思ったがそれを聞いて納得。折角だし学校まで一緒に行こうと思う。私の歩みに合わせてくれている黄瀬君に申し訳ないと内心では思うものの口には出さない。だって彼すぐに調子に乗るから。

「そういえば今日提出予定だった理科の課題終わった…ってあれ。」

そう言いながら彼の方を見たつもりが,いつの間にいなくなってしまったのか彼の姿が見当たらない。周りから見れば一人で喋っている変な子と思われていたんだろうなと羞恥に顔が熱くなるよりも先に,黄瀬君を探すのが先だ。そう思い後ろに気配を感じて振り向くと以外にあっさり黄瀬君は見つかった。…が。

「えいっ。」

そう言いながら黄瀬君は私のスカートを,捲った。何が起きたのかわからなくて固まる私の横で,「あ,ピンクだー」なんて言いながら黄瀬君がさも普通みたいな顔をしながら笑っている。まだ固まり続ける私の背中を叩き,「早く行かないと遅刻しちゃうっスよー」と言い黄瀬君が歩みを進めた。私は呆気にとられ彼のことを見ていたものの,あまりの自然体な彼の振る舞いにこれはきっと夢か何かだと自分自身に言い聞かせ彼のもとへと走っていく。

追いついた私は彼のように平然を装って,いつも通り,のつもりで彼に話しかけた。

「…き,黄瀬君。それで理科の課題…。」
「どうせならピンクじゃなくて黄色のがいいと思うんスけど。」
「…黄瀬君?」

何?そう言いながら黄瀬君が立ち止まり,私も立ち止まる。強い風が吹きスカートがはためいた。

「へ,変態。黄瀬君の変態!どうしてこんなことしたの!」

遅れてやってきた羞恥で顔が熱い体が熱い。先程まで疑問,というか言いたかったことを彼にぶつけると,彼からは一言。

「スカートが捲ってほしそうだったから。」

と真顔でそうこたえた。私はもう彼に突っ込む気力さえ失い盛大な溜息をつきながら思ったことが一つある。

明日からスパッツ履いて行こう。

2013.01.24
( ◎スカートがよんでる krk/黄瀬涼太 )
― thanks はこ/題名
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