「コムリン壊すコムリン壊すコムリン壊すコムリン壊すコムイ壊す!!」
「なまえちゃん!怖いよボクを壊すことになってるよお〜!」

コムイさんの泣き言は無視してイノセンスを発動し、コムリンの頭上に飛び上がる。アレンはしばらく心配ない。手術室の入り口に入る際、引っかかった上着をリーバーさんがずっと握ってくれている。コムリンのボディは固い。私のイノセンスで貫けるかどうか。貫けたとして、あいつの弱点はどこだろう。とにかく腕一本ずつ破壊して動けなくするのが良策か…。

「マッチョは嫌ーーー!!起きるんだリナリー!!」

次の狙いはリナリーか。これはゆっくりしてる場合じゃない。星団ノ唱(リヴィール・ソング)は敵がアクマじゃないから効果がない。ここは物理的な攻撃で、とりあえず全力で撃つしかない!!

「「いっけーーなまえ!!」」
「千方流星(シューティング・スター)!!」

科学班のみんなの掛け声を引き金に、鋭い結晶がコムリンのボディめがけて放たれる。私が攻撃をしかけるのとコムリンがリナリーに手を伸ばすのは同時だったようだ。煙があがり、様子は分からない。どうか、間に合ってますように。

「なまえ、帰ってたのね」
「!!」

背後から、声をかけられる。そこには大砲の先にふらふらと足元がおぼつかない状態で立つリナリー。よかった、無事だった。

「帰ってるよ、アレンも。一緒に」
「そう…よかった」
「今はあのコムリンってふざけたやつの中に閉じ込められちゃってるけど」

リナリーが微かに口元を緩ませると、靴が変形していく。リナリーのイノセンスは初めて見る。

「一緒に、助けよう」
「うん!!」

リナリーと共にコムリンへ向かって飛び上がる。敵にイノセンスを向けながらも、見たことのなかったリナリーの戦い方に目を向け、見惚れていた。なんて綺麗な戦い方をするんだろう。リナリーの攻撃によって切り離されたコムリンのボディの影にアレンの姿を見つけた。後のことはリナリーに任せよう。

「いいぞリナリーなまえ!」
「ブッ壊せー!」
「カッコいいーーー!」

そんな科学班の人たちの声が聞こえる。上司だからと絶対に従ったりしない。不思議で面白い人たちだ。

「アレン!無事にモヤシのまま?」
「…ぱい」
「そっか…よかった。リーバーさん、ずっとアレンについててくれてありがとうございました。危険だったのに」
「当然だ。仲間だからな」

リーバーさんは気にするなとでもいうように笑ってくれた。その笑顔と言葉に、顔に熱が集まる。なんだかやっぱり私、ちょっと変だ。

「コムリンは悪くない!悪いのはコーヒーだよ!罪を憎んで人を憎まず。コーヒーを憎んでコムリンを憎まずだ、リナリー」
「まだそんなことを…」
「兄さん…ちょっと反省してきて」

リナリーの一撃で、事件は終了した。




トンテンカントンテンカン

コムリンによって破壊された教団内を修理する金槌の音が響き渡る。最初は任務から帰ったばかりだし怪我人でもあるということで休ませてもらってたけれど、一休みして疲れが回復したため修理を手伝うことにした。

「ジョニー、ここできたよ!」
「わあ、ありがとうなまえ!ごめんね手伝わせちゃって」
「いいのいいの。私から手伝わせてって頼んだんだし。みんなこそ災難だよ。今回は全部コムイさん一人のせいだもん」

ははは、と隣で嬉しそうに笑うジョニーを始め科学班のみんな。こんな目にあってもみんな室長について行くんだから、きっとあの人は立派な人なんだ。ちょっと、自由すぎるだけで。

「なまえも手伝ってくれてんのか!いいって言ったのに」

どき!その声に跳ねる心臓。そっと振り返ると、捩り鉢巻きをして頬を汚したリーバーさんが申し訳なさそうな顔で立っていた。

「ごめんな。入団したばかりでこんなくだらねえことに巻き込んで。いつもはここまでひどくないんだ」
「ははは、まあコムイさんにはちょっと怒ってますけど。おもしろくて好きですよ、教団(ココ)は」
「…そうか」

リーバーさんは笑って、私の頭をなでた。大丈夫かな、また顔赤くなってないかな。なぜだかこの人に微笑まれると私は、変になってしまう。

「なまえ〜!」
「アレン!大丈夫?」
「大丈夫です!一緒にイノセンス届けに行きましょう」
「おーアレン 目が覚めたか」
「一体夜に何があったのアレンちゃん。もー城内ボロボロよ」
「アレン お前の部屋壊れてた」

暖かい雰囲気。アレンも私も、ここへ来て本当によかったかもしれない。人の暖かさに触れることができるから。教団って、師匠が逃げるくらいだからもっと怖くて堅苦しい感じだと思ってたけど。全然違う、素敵なところだと思った。

「「おかえり アレン なまえ」」

口を揃えてそう言ってくれるみんな。嬉しそうに頬を赤く染めたアレンと顔を見合わせて、一言。

「「ただいま」」

ー ー ー ー ー
(なまえちゃん お見舞いに来てくれたの?ボク嬉しいなあ〜)
(そんなわけないでしょコムイさん
一発ぶん殴りに来たんだよ)
(え?冗談だよね?そんな子じゃないよね?ねえ?)
(大丈夫 リナリーの許可は得てる)
(何が大丈夫?!ギャーーーーー)


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