任務から帰って一息つこうと思った僕たちを突如襲った謎の存在、コムリン。そのコムリンから逃げる途中に、リーバーさんから事の成り行きを教えてもらった。そのアホくささにため息も出ない。ちら、と背負うリナリーに目をやった。僕と年も変わらない女の子であるリナリーも、エクソシストなんだ。世界のために、戦っているんだ。

「はあぁ〜ラクになりたいなんて思ったバチかなあ…」
「え?」
「お前達エクソシストや探索部隊は命懸けで戦場にいるってのにさ。悪いな」
「リーバーさんは何も悪くないよ」
「「?!」」

コムリンをおびき寄せるため途中で分かれたはずのなまえの声がして振り返ると、そこにはイノセンスを発動させたまま俯いているなまえが。うわあ、オーラで分かる。なんか知らないけどすごい怒ってますよ。

「なまえ!怪我はないですか?」
「ない。コムイどこ?」
「(呼び捨て?!)」
「さっきは悪かったなまえ。囮みたいにしてしまって。二人は初めての任務から帰ったばかりだ、無理してほしくない。ここは安全みたいだから、少し隠れてろ。科学班が起こした事件は科学班が処理する」

リーバーさんの言葉に顔をゆっくりと上げたなまえは、驚いたような顔をしていた。オーラも柔らかいものになって、怒りはちょっとおさまったみたいだ。

「まだ言ってなかったな、おかえり」

その言葉に、目を見開く。昔の記憶マナの声、よみがえってきて、懐かしく感じるのと同時に少し辛くなった。

「アレン?」
「え…あっはい!」
「何だよ。もしかして任務の傷が痛むのか?報告は受けてるぞ」
「いえっ平気です!た、ただいま」

返事が遅れた僕を不思議がって軽く首をかしげるリーバーさん。その不思議そうな顔のまま、僕の後ろに立つなまえにも顔を向けた。が、次の瞬間驚いたように目を丸くする。僕も思わずなまえに目を向けると。

「え、なまえ?」
「?! な、なに?」
「顔が、真っ赤ですよ」

そう言うとなまえは焦ったように、顔を背けたり両手で隠したり取り乱しまくる。な、なんですかこの展開は…。あまりの驚きに遠くから聞こえた科学班の人やコムイさんの声、コムリンが暴れ始めた音への反応が遅れた。そんな乙女っぽいなまえ初めて見ましたよ!一体どうしたんです!

ドルルルルルルル

「どわわわわっ」

固まってる場合じゃない!科学班のコムリン破壊活動をコムイさんが邪魔しているようで、銃が乱反射された。コムイさんは反逆者とされ、これ以上邪魔しないよう縄で縛られている。一安心、と思ったのに。

「コムリン…アレンくんの対アクマ武器が損傷してるんだって。治してあげなさい」
「え」
『優先順位設定!アレン・ウォーカー重症ニヨリ最優先ニ処置スベシ!!』
「アレン!危ない!」

コムリンに足を捕まれ手術室と書かれた怪しい入り口に引きずられる僕の腕を、なまえが必死に引っ張り行かせまいとしてくれる。それはありがたいんだけど、だけど。

「ちぎれるうううう」
「さあ リーバー班長!コムリンがエサに喰いついてるスキにリナリーをこっちへ!!」
「あんたどこまで鬼畜なんだ!」
「コムイ…後で覚えてろ」

なまえからドスのきいた低い声が聞こえた。手術室の入り口にはコムイさんの姿をした機会が恐ろしい器具を持って待ち構えている。包丁とか!手術に使うもんじゃないですよ!

「アレン、イノセンス発動して。一緒にコイツ壊そう!」
「はい! イノセンス発動!」

その時首に何かが刺さった。途端、体がビリビリと痺れて力が入らなくなる。みんなが室長〜と怒鳴る声が聞こえたから、どうせまたあの人の仕業だ。はあ、踏んだり蹴ったりだなあ。もう、だめだ。サヨナラ僕の体。

「なまえ…リナリーをちゅれて逃げて」
「アレン…」
「ぱやく…」
「…分かった!すぐに助けるから、信じて。マッチョになんかならないで、モヤシのままでいてね!」

最後の一言、余計ですよ馬鹿。

『アレン・ウォーカー収容完了しました』

― ― ― ― ― ―
(さあ、覚悟はできてるかな?
私の兄弟子危険な目に合わせた、罰だよ)

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