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にっこにこと笑う幸村を思わず凝視する。なに、なんなん?なんて言ったん、目の前の男は。あ、やべ。卵焼き落ちてしもた。隣で丸井が勿体ない!とか言っていた気がする。しかし今はそれどころではない。幸村の発言のが問題だ。
「なっなんて言うたん?」 「一度で聞かんか!たるんどるぞ霜田!」 「真田はちょっと黙っとき!」 「、む」 「だからね、テニス部のマネージャーをして欲しいんだ。」 「マネージャー?選手をマネージメントしたりするあのマネージャー?。」 「うんそのマネージャー。」 「………ちぃとキツイかもしれん。」
俺んちは父子家庭だ。おかんがいない分俺は家事をやったり色々と忙しいのだ。なんとも中学生らしくない中学生なのだろうと自分でも思う。
「大方、お前が心配しているのは家庭のことだろう。」
ノートを捲りながら柳が言う。
「おん。家庭のことさえなけりゃ手伝ってやりたいんやけどな…。」 「それなら心配ない。きちんと話をしておいた。」 「は?」 「うん。小太郎のお父さん、頑張ってきなさいって言ってたよ。」
幸村と柳が笑って頷く。おとんと話をつけた?いつ?俺そんなこと知らんかったんやけど。開いた口が塞がらないとはまさにこの事。
「え、ええええ。」 「そういう訳だからやってくれるよね?」 「いきなりすぎて話についていけへんわ。」
まあマネージャー、することになりました。霜田小太郎、精一杯やらしていただきます。
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