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あ、アイス食べたい。
もう二学期に入って大分経っているのに未だ夏のような暑さ。異常気象とかそういうのいいから、まじで。
そう思ってコンビニに寄ってパピコを買った帰り道。でっかい先輩に会った。
いや、会ったというには語弊がある。近くの公園のジャングルジムの上に佇んでいたのを見かけた。
いや、更に言えばジャングルジムの上に佇んでいるのを現在進行形で見つめている。

ま、まさか今日もサボりなんだろうか…。また試合できなかったって遠山ごねるんじゃ…。


「あの…」

「…ん?」


遠山のしょぼんってした顔、かわいいけど、笑った顔の方が好きなんだよなあ、なんて考えていたら、思わず声をかけていた。


「千歳先輩…ですよね?」

「そーっばい」

「あ、えっと、私、一年で遠山と同じクラスで…」

「金ちゃんと?」

「は、はい」


ジャングルジムの上でぼけっとしていたでっかい人は、私が遠山と同じクラスだと言うと興味を示した。
そしてジャングルジムの上から飛び降りた。


「……飛び降りたっ!?」

「なんと?」

「い、いえ…」


ぜ、絶対に3メートルはあったぞこれ…。


「金ちゃんと同じクラスばい?」

「そうです。…あの、」

「はよ言うとー!金ちゃん元気しとっと?」

「あ、はい。元気にしてます。うるさいぐらいに」

「ははっ、よかよかー。金ちゃんは元気なのが一番たい」

「そ、そうですね」


いかんいかん。流されてる。完全にこの人のペースになってる。
それにしても人懐っこいなあ。


「あの、それで、」

「ぱ、パピコたいっ!」

「え?あ、はあ」

「パピコ…」

「……食べます?」

「まじかっ」

「あー…ただし、条件が…とか…」

「よかよか!俺にできることならやるばい!」

「じゃあ…部活に行ってもらえませんか?遠山が先輩との試合を楽しみにしてるみたいで」

「あっ!約束忘れとったばい!」

「ええー…」






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