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私と尾浜が出会ったのは、実は霞と尾浜が出会うより早かったりする。
一年生のとき、初めての実習でのペアの相手が尾浜だったのだ。
くノ一教室に入った生徒は基本的にこの初めての実習で忍たまに“くのたまに逆らってはいけない”という意識を植え付ける。
忍たまの実習内容が裏山での鬼事だとすれば、くのたまの実習内容は鬼事に見せかけた、重要な植え付け。
裏山に仕掛けられた罠にペアの人をわざと引っ掛け、自分だけ逃げる、とか、食堂のおばちゃん特製のお弁当に下剤を混ぜるとか。非常にえげつないことばかりだが、男尊女卑の意識が強い男共にはこれぐらいやらないと植え付けられない、らしい。
この頃から優しかった霞は植え付けに失敗したが、私は周りのくのたまと同じくペアの尾浜にえげつないことをやってのけた。……確か、兎を捉えるための簡易式の罠に引っ掛け、縄で吊るされた所を放置した記憶がある。逆さまのまま同級生、もしくは先生に見つけてもらうまでの間は地獄だったろうに、その後から尾浜は私に対して必要以上に絡むようになった。

今のようにべったりではなく、私の顔色を伺いつつだったが、やはり謎だ。霞のことを知らなかったにしても、霞の天女のような性格は二年に上がる頃にもなれば忍術学園の常識となっていた。
なのに何故、他のくのたまと変わらない私に構い続けたのか。…わからない。
ちなみに霞と尾浜が出会ったのは、実を言うと去年の春、四年生になりたての頃の話だったりする。
出会った、というには語弊があるが、霞が尾浜を慕うようになったのはその頃からだ。霞がいつから尾浜を見ていたのかは、私もよく知らない。


あぁ、困った困った。
尾浜は霞を見てくれないし、霞も尾浜を諦める気はない。
もういっそのこと、二人とも違う人を好きになってしまえばいいのに。そんな素敵な人が、二人の目の前に現れればいいのに。

面倒事は正直な所遠慮したい。



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