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「うおおおおおお!わっかんねえええええ!」と叫べば「うるさいよ」というリドルのキツイ鉄拳が私の脳天にぶちこまれた。世間ではこれを脳天チョップという。はいこれ豆知識ね。


「僕が、この僕が直々に勉強を教えてやっているのに名前は真面目に勉強する気はないのかい?」

「いや、真面目にやってるんだけどわからないものはわからな、いたっ!」


ブツブツと文句を垂れてみると案の定短期なことに定評のあるリドルから脳天チョップ第二発を食らった。くそう…!普段は優等生という皮を被っているくせして、どうして私にはこうも攻撃的なんだ…!自惚れていいんだったら私はリドルが私に心を開いているからだと解釈しま「そんなこと考えてないでさっさと問3やってよ」「ですよねー」リドルの態度の豹変に意味はない、証明終了。
それからしばらく、カリカリという羽ペンが紙と擦れる音だけが響いた。一応、問題を解く前にリドルが説明してくれたことは聞いていたから、解ける。てか自分でもびっくりするぐらいに解けてる。アンビリーバボー!直径30cmほどの頭の中には半径1cmぐらいの脳みそしか入ってないんじゃないの?とかリドルに言われたことがあるけど私はそこまで馬鹿じゃなかった!ていうか半径1cmって直径2cmってことだよね。地味なリドルの優しさが嬉しいとか思ってません。はは。


「僕の態度が違うこと、気になる?」

「めっちゃ気になる」

「教えて欲しい?」

「……何か裏がありそうだから遠慮しときます!」

「そんなに気になるなら教えてあげるよ」

「聞いちゃいなかった!」


パタン、と読んでいた本を閉じてこちらに向き直るリドル。
ひいいいいい、そ、そんな改まったように言われるときんちょ…!ハッ、まさか!リドルから愛の告白…?


「僕が君に優しいのはね、君に愛想を振りまいても意味がないから」

「エッ、そ、そんな急に言われても…!………って、え?」

「利用価値の見出せない人に媚を売っても仕方ないだろ?」

「う、ウワー!騙された!酷い!」

「なに?僕が君に告白するとでも?」

「そうですね、ありえませんね。ちっくしょー!ちょっとでも期待した数秒前の自分死んでこい!」

「死にたいの?」

「滅相もございません」


「そういうことだからさっさと勉強しろ」と絶対零度の笑みで微笑まれたリドルさんから即座に視線を逸らし課題に目を落とした。ひえええええリドルこえええええええ!

でもさあ、利用価値の見出せない人を側に置いておくってことは、少なくともリドルにとって私は存在価値のある人ってことで、いいよね?
そうニヤニヤしているとリドルから本の角で頭を殴られた。前言撤回、絶対に私はリドルのオモチャとしての利用価値しか見出だされてない!


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