「月島、やっぱり断ってはいけませんか?」
「…何回目ですか、お嬢様」
「そうね、ごめんなさい」

ベッドに腰掛けたまま、溜息を吐いたなまえ様は倒れこむようにベッドに横になった。彼女は18歳で僕は20歳、歳も近いこともあって彼女とは仲良くしていただいている。執事とその主人という関係なのにも関わらず、僕は、彼女に恋をしている。

だが、その恋ももうすぐで終わりを迎える。彼女は結婚するのだ、親が決めた相手と。両親に逆らったことのない彼女は二つ返事で承諾した。だが、本心はやはり快く思っていないみたいで、結婚の話をしてから何度か冒頭の会話が繰り返されている。

「月島、」
「ダメです」
「…まだ何も言ってませんよ」

ふっと自嘲気味に笑った彼女は、上半身を起こして膝を抱えた。

「あのね、月島は、どう、思います?」

チラリと目線を僕に向けた彼女に、僕の心臓が掴まれたように、痛みを感じた。

「お相手の方のことですか、素敵な方だと思います。ご両親も喜ばれると思われます」
「…ううん、そうじゃなくてね。」

両膝に額をくっつけて小さくうずくまった彼女を、優しく抱きしめることができたらいいのに、なんて何度も思ったことだ。

「私が結婚して嬉しい?」

小さく、囁いた言葉は僕の耳に微かに届いた。その言葉は僕にとって酷く残酷だ。僕は、何て言えばいい。もう、この際、全て吐き出してしまおうか。

「やっぱり何でもありませ「バカなんですか?」え、」

「なまえ様が結婚して嬉しいか?嬉しくないですよ。わかりませんか。僕はずっと貴女が好きだったんだから、なんで、そんなこと言うんだ」

「つ、月島」
「……忘れてください」

「さっきの、本当?」
「嘘をついたことがありますか」
「ううん、ない」

心臓が、また掴まれた。

ないよ、と涙を滲ませる彼女は、嬉しそうに笑っていた。「私も、好きです」頬を赤く染めて涙を流す彼女を、僕は初めて強く抱きしめた。




あなたは執事と主人の関係で両片想いから告白する月島の、漫画または小説を書きます。
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