なまえちゃんが熱だした。

馬鹿はなんちゃら言うんに、おかしい。部活こおへんおもたら風邪引いてるやて。しかも僕に言わんと小鞠に言うてどないなん。おかしいやろ。マネージャーのくせに。


「ごほっ、それ言うために来たん?」
「当たり前やろ。」
「ごほっ」
「風邪うつったら看病してや」
「勝手に来たんそっちやん」
「なあ、えらい?」
「ん」

少し汗ばんだなまえちゃんのおでこに手を触れるとじんわりと熱さを感じた。低体温のなまえちゃんには苦しいやろなぁ。

大きい目が潤んで顔も真っ赤っか。

いつものうるさいくらいの元気が今は一欠片も見当たらへん。

「…みどくん、心配させたくなかっただけや」
「はぁ?」
「別に、朝に小鞠から電話があったからそん時にみんなに伝えるように言っただけやで。やから嫉妬せんで、よ、ごほっ」
「…誰も嫉妬なんてしてへん」
「せやろか。結構嬉しいもんやね」

へら、と笑ったなまえちゃんにゾクゾクした。いつもならそんなこと言わへんくせに今日はなんや素直や。かわいいなんて言ったらんけど。

瞼を閉じたなまえちゃんに被さるようにしてベッドに乗り出すと、軋んだ音がやけに響く。

「なにしとるん」
「おとなしいなまえちゃんもたまにはええもんやね」
「失礼やな」
「黙っとり」

触れた唇もあっつい。感じる吐息も熱くてこっちまであっつぅなってくる。耳に触れて距離を縮めるとなまえからくぐもった声が漏れてどくんと心臓が脈打った。

「う、うつっても知らんで」
「またうつし返すからええわ」
「やらしい」
「うるさいわ」




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