今日は弟のレースの応援に来た。レースといっても大きな大会ではなく合同練習のようなもので、他県からもたくさんの学校が来ている。私の弟は総北高校である。にしても、人が多いなぁ。ていうか観客席どこなんだろう…?ユニフォーム着てる人が多いのは気のせい?「ピギ!」キョロキョロと彷徨いているとドン!と誰かにぶつかってしまった。(ついでに足も思い切り踏んじゃった)その反動で尻餅をついてしまった。ああ、坂道のために持ってきた栄養食品達が…!!

「ごごご、ごめんなさい!お怪我はありませんか!」まず謝ろうと、ぶつかってしまった相手の顔を見るために顔を上げると、大きな黒い瞳がじっと見つめてくる。背が高い…!どうしようかと、ぽーっと見つめていると、不意に黒い目が泳ぎだして目を逸らされた。心なしか少し顔が赤い気がする。「…気ぃつけや」ぽそ、と言うと地面に転がったドリンクはパワーバーなどを拾ってくれた。すごく優しいひとだ!

「ありがとうございます!あの、足踏んじゃってすみませんでした!じゃあ、そろそろ行きますね」ぺこり、と頭を下げて親切な人の横を通り過ぎようとした刹那「わ!」ぐいっと腕を引かれた。「そっち、関係者のみやで。」「え、そうなんですか!」「…どこ行きたいん」「あ、あの、総北のテントに…」「(総北の奴らの知り合いなんか?)…こっちや」「わ、わわわ」人の波をかき分けてぐいぐいと引っ張られる。「あ、あの!連れてってくれるんですか!」「べつに、僕ゥもこっちに用あるだけや」「そ、そうなんですか…」

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まさか僕がこんなザクのために道案内するとは思わへんだわ。ほっそい手首やなァ。それよりもなんやこいつ見たことある顔しとる。「なあ、あれってグラドルのなまえじゃね?」グラドル…?チラ、と顔を盗み見ると確かに、部室に転がってた雑誌の表紙のやらしい女や。確かこいつやった。あー、モヤが一つとれたみたいにスッキリしたわ。
「え、なんでこんなとこいんの」「あれ本物?」「この辺で撮影でもするのか?」「ていうか、なんで御堂筋と一緒なんだ?」その言葉が耳に入った瞬間、掴んでた手首を振り払ってしまった。「わ、あの」「あんま、僕と一緒におらん方がええんちゃう」「え?どうしてですか?」「…いや、やっぱええわ。もうこの辺やったら…「あ!姉さん!!」姉さん?「坂道!!」坂道ィ?「よかった、姉さんちゃんと来れたんだね。あ、差し入れ?ありがとう!」「いえいえ。あ、実は迷子だったんだけどね、この…えっと…「御堂筋くん」…が、ここまで連れてきてくれたの!」なるほどォ、なんか誰かさんと雰囲気似てるとおもたら坂道の姉ちゃんか。「あの、御堂筋くん!本当にありがとうございました」ぺこ、と頭を下げる坂道姉。すると、ダダダダダッと誰かが走ってくる音がする。「小野田ァァァ!!!」「わ、わ、なんですか巻島先輩!」「お前、なまえちゃんの弟ってどういうことっショ!!」「や、ああああの、まさか姉のこと知ってるとは思わなくて…!」「俺の趣味知ってるっショ?!!」「あ、あの、」「…!ほ、ほんもののなまえだ…ショ」「あ、はい。一応本物です」そういって笑う女に顔を赤くしとる巻島キモい。キモすぎる。なんで手握りしめとるんやキモい!「よ、よかったら今度一緒に「キモッ。こんなグラビアアイドルのどこがええんかわからんわ」「は?お前に関係ねえっショ」「あんたもあんたやわ。こんな男ばっかんとこで迷子になるとか阿呆やろ。キモ。なんでスカート履いてきてんねん。そんなん見せびらかしてるようにしか見えへんわ、あーキモ!」「おい」あー、怒っとるわスパイダー。坂道もおろおろしててキモいし。「ふふ」女は突然笑い出した。「それって、心配してくれてるんですよね?ありがとう。次からはちゃんとスカート以外履いてきますね」くすくす笑うってる女は一体僕をどうしたいんやろか。あかん、なんか熱い、心臓に悪いわ。こいつの黄色。



▽さくら様、リクエストしていただきありがとうございます!ご期待に添えてない気がしてなりません…!そして呼び方が安定してなくてすみません。グラビアときいたらもう巻島先輩に出ていただきたくて詰め込んだらこんなことになりましたが楽しめました。わたしの力量不足で申し訳ありません。苦情はいつでも受け付けてます。この度は当企画に参加していただきありがとうございました^^
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