「この辺のはずなんだけどな」

わいわいがやがやとお花見に騒ぐ人の群れの中、私は絶賛迷子です。待ち合わせ場所しっかり決めておけばよかった。みんなどこにいるんだろ。

「君、もしかして迷ってるの?」
「え?」
「こんな綺麗な桜の下で君のような素敵な女性に出会えて嬉しいよ。もし暇なら僕と二人でどう?」
「(うわ、真昼間からナンパだ、なんだか見たことある気がするのは気のせい?!)あの、わたし、」
「なんだか何処かで見たことある気がするんだ。やっぱり運命なのかもしれない!」いや絶対そうだ!と、私の両手を握って頷くナンパ男に戸惑ってしまう。怖い、なんだこのひと!

「あ、あの、わたし!人探し中なんです…!」
「じゃあ、その待ち人が来るまで僕と一緒に「あ、いた」

背後から聞き慣れた低い声が聞こえた。声のする方を振り向くと予想は的中。「健太郎くん!」「おはよ」「よかった、見つからないかと思ったよ!」健太郎くんは私の頭を撫でて「ごめんね」と笑った。

「で、あんた、この娘と一緒に何しようって?」健太郎くんがナンパ男を一瞥すると、「あれ、あんた海常の」と言った。あ、そうだ。何処かで見たことがあると思ったら、海常高校バスケ部の森山君だ。(そういやあいつは軽いから気を付けろって健太郎くんに言われた気がする)

すると森山君も合点がいったようでハッとして「え、この娘、霧崎と待ち合わせてたのか!?」と叫んだ。「まあね」「なんだ、そうだったのか…運命が…」森山君はガクッと肩を落として何かをぶつぶつと呟きながら去って行った。と、思ったらまた別の女の子に声をかけていた。軽い、軽すぎる…

「ごめんね健太郎くん」「謝んなくていいよ。みんな待ってる。行こう」「うん」健太郎くんに手を握られ歩き出す。「あ、でも」「え?」くい、と手を引っ張られると健太郎くんの胸に飛び込んで「…無防備すぎ。ちょっと、嫉妬した」と耳元で囁かれた。「ご、ごめん」と謝ると「これでいいよ」と唇を奪われた。人前なのに…!顔が熱い。「行くよ」と再び健太郎くんに手を引かれる。

「あー!おせぇぞ!!」なにやら騒がしい声が聞こえて顔を上げると、見慣れた顔ぶれが揃っていて自然と顔が綻んだ。レジャーシートに座るみんなに「お、遅くなってごめんね」と謝ると、まあ座って座って、と原君に健太郎くんと康次郎くんの間に座らせれた。視線を感じて横を見ると、康次郎くんが「顔、赤くないか?」と小さく呟いた。ハッとして両手を頬っぺたに当てて隠すと、康次郎くんに「バレバレ」と笑われた。む、としていると「あんま虐めないでね」と健太郎くんが私の肩に腕を回してきた。近くなる距離にまた私は赤くなってしまったのだった。



▽チー様、この度は参加ありがとうございます。短い&ほぼ瀬戸くんしかいないです申し訳ありません。ナンパはやっぱり森山君かな、と思い森山君を選ばせていただきました!そして前のリクエストの瀬戸くんの時はみんなを苗字呼びでしたが、今回は名前呼びにしました!あの時より距離が縮まったということでお願いします…。霧崎第一でお花見とか癒しでしかないですね。苦情いつでも受け付けてます!リクエストありがとうございました^^

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