「瀬戸くん、おはよ」 「…ん、はよ」 「今日も決まってるね!」 「あー、どうも」 なにが「あー、どうも」だよ俺馬鹿じゃないの。ほんと、気が狂う。 まさか、まさか俺が恋なんかでこんなに困らされるとは思わなかった。勉強できても女ってわかんないし。謎すぎる。今まで遊びでしか付き合ったことなかったしな。 「原」 「ん?なに健ちゃん」 「なんでなまえとそんな話せんの」 「なに、珍しく起きてると思ったらそんなこと悩んでたの」 「そんなことじゃねーし」 「ていうかそんな好きだったんだね、意外っつー「アドバイスはよ」うぃー」 「べつに、クラスメイトだしなんでも「なんでもがわかんねーの」 「んー俺はファッションとかの話とかするよん。まあ健ちゃんには「殺すぞ」 健ちゃんとなまえちゃんの接点てなんだろね?てかなんで好きなの?」 「…なんで…か」 「一目惚れ?」 「まあ、そんな、感じ?」 「意味わかんねー。あれだね、やっぱ挨拶かな。うん!はい!」 「お前、めんどくさいだけだろ」 「あれ、バレちった?」 「シネ」 原はダメだな。役立たずだ。 チラッとなまえを見ると、友達と談笑していた。うわ、顔赤い。なに話してんだろ。照れてるなまえも可愛いな。やべ、目があった。 俺、ぜってえ不審者じゃねーのこれ。 目泳ぎまくったしうわあーねーわ。 これはもう寝よう。あれ、アイマスク何処行ったっけ。あーもーめんどくせえ 「瀬戸くん。」 「なに?」 驚いた。声をかけてきたのはなまえだった。イライラしてて近づいてんの気づかなかった。てか睨んじまった俺死ね。 「あ、ごめんね?これ探してるのかなって」 「え、あ、さんきゅ…」 「ううん、こ、このアイマスク素敵だね!」 「…やろーか?」 「え、」 「あ、わりぃ。アイマスクなんて要らねーよな」 「ううん!く、くれるの?わたし不眠症だからうれしい!」 「不眠症なのか…?」 「え、あ、いや、その」 「明日、お前に合うアイマスク持ってきてやるよ。よく寝れるやつ」 「う、うん!ありがと瀬戸くん」 「いや、どういたしまして…みょうじ」 喉の奥がぐずぐず泣いて、名前もまともに呼べないの、わかる? 「なまえテンパりすぎて不眠症とか言い出してんだけどあいついつも授業中ぐーすか寝てんじゃん」 「瀬戸が青春とかムカつくんですけど」
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