「先生、ご飯できましたよ」 机にきつねうどんを二つのせる。湯気が揺らめいている様子を横目に先生をみると未だ仕事をしていた。 「…ー、おわった」 「終わりましたか?」 「ああ。」 「お腹空きました!食べましょう」 「きつねうどん? はんっ、相変わらず簡単な料理だな」 「うるさいです。文句があるなら食べないでください」 「誰も食べないとは言っていない。ほんとに君はそうやって物事を決めつける。治したほうがいいぞ、それ」 「む、先生こそ!その理屈っぽい性格治したほうがいいですよ」 「君に言われる筋合いはない。早く食え。麺が伸びる」 「…はーい」 ずるずると麺を啜りながら、チラッと先生を盗み見る。黙ってればイケメン。口を開くと屁理屈野郎。はぁ、損な人。 「ん?なんだその哀れみの目」 「かわいそーな人だなぁっと」 「…自分のことか?今頃気づいたのか。まあ、知らないよりは良い」 「ちがいます。貴方のことです。馬鹿」 「っ!それはただの悪口だろう!」 「あーあーあー、うるさいです。」 「君のほうがうるさいんだよ」 むか!ほんっとにこの人ってやつは! せっかく泊まりにきたのに。やっぱね、こうなると思ってたの! お風呂に入って溜息をつく。 あれから一言も会話をしていない 私が大人にならないとダメよね。うん よし!と 気合を入れてお風呂からでる。 先生はコーヒーを飲んでベランダでくつろいでいた。 「お風呂でましたよーっ先生!」 「足音でわかる。」 「くつろぎタイムなうですか」 「ああ。」 「いいですけど、早くお風呂入ってください。風邪ひきますよ」 「ああ、君は早く寝るんだな。お子様」 「っ!先生と二歳しか変わりませんけど!」 「…そんなこときいちゃあいないよ」 「…もう知りません!寝ます。」 やっぱり先生は一々突っかかってくる。もう知らない。ほんとに寝てやるんだから! 先生のベッドにドスン!と飛び込む。 先生の匂い。すごく落ち着く。 先生って落ち着いてるけどすぐかッとなるし、仕事にリアリティ求めすぎて暴走するし、理屈屋だしすんごーくムカつくけど意外と仲間思いだったりしちゃうし色々一緒にいて損なこともあったけど… けどー、好き、なんだろうね。私は はぁ… ガチャ 扉の開く音がする 別に疚しい事などないけど、狸寝入りをとっさにしてしまった。 先生が近づいてくる足音が耳にはいる。 ギシ、静かにベッドが軋む。 心臓がドクドクと脈を打つ。 「なまえ」 先生の手が私の頭に触れる。 優しくて暖かい。 先生髪の毛を撫でながら、 小さな声で呟いた。 「すまない、好きだ、なまえ」 声が優しいのはずるいと思います (嫌いになりきれない) 「先生、好き。」 「当たり前だ。」
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