「ねえ、どうしたの」 「別に」 「何もないのにこんなことしてくる人じゃあないでしょ、露伴は」 どうしたんだろう、一体。露伴が腰にへばりついて離れてくれない。犬が匂いを嗅ぐように鼻を腰やら胸やらに押し付けてくる。 「匂う。」 「え?臭い?」 「…仗助か?」 「え?あー、さっき憤上くんにあったよ」 「憤上の匂いか」 「憤上くん、匂いきついから!ほら、あの人の周りって女の子多いし!だから、だよ?」 「僕は別に、憤上の匂いに怒ってるわけじゃない!」 「…え?」 「憤上に会っていたこと自体にイライラする。というか、何をすればこんなに匂いが付着するんだよ?ハグでもするのか?ここは日本だろ。それともそれ以上でもしたのか。」 「違うよ、バカ。早とちりしないでよね。ここまで送ってもらったの。もう外暗いからって」 「ふーん?まあ、いいけど。言っておくが、暗いから送るって言葉はただの言い訳だぜ?」 「は?」 「暗いからってどさくさに紛れて何をしてくるかわからんだろう?」 「はは、私のことそんなに心配?」 「誰も心配なんてしてない」 「はいはい。」 めんどくさい性格だな、本当に。チラッと見える耳が赤いんだよ。ふふ、と笑うと眼を開けて私を下から見上げてくる。 「お前を閉じ込めたいな」 「物騒ね」 「お前が悪い」 「ん、そーだね。」 お前が悪いんだからな。なんていう露伴が可愛くて仕方ない私は、少しおかしいのかもしれない。でも、愛さえあればいいの。
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