気持ち悪いふるはし


最近古橋君は私のことをじっと見つめてくることが多い。私と彼はただのクラスメイトてカレカノの関係でもないしまともに話したこともそんなに多くはない。最後に話したのはいつだろうか。日直のお仕事を手伝ってくれ時だろうか。

ヒシヒシ感じる視線に耐えきれなくて視線を辿ると、案の定古橋くんと目があった。

すると、古橋くんは口元を手の甲で隠すようにして、目線もす、と逸らした。わたしも読んでいた本に視線を戻す。

パラパラとミステリー小説を読みながら、古橋君の行動について無意識に考えてしまう。もしかして、私に何か言いたいことでもあるのだろうか…。

ちゃんも、言ってくれたらいいのに

もう一度古橋君をチラ見してみると、やはりまた目があった。が、その瞬間古橋君は教室から出て行ってしまった。近くでエロ本をみていた原くんも「え、どしたの」と驚いていた。「トイレ」と呟いて教室のスライドドアをガラガラと閉める古橋君。

あ、これってもしかして嫌われてるのかな?いつも見ていたのはただただ嫌いだから?目があって吐き気がするくらい気持ち悪いってことかな…

いや、でも嫌いな人の日直のお仕事を手伝ってくれたりするだろうか。

また私の悪い癖で被害妄想をしてしまった。こういうのは気にしないでおくのが一番だと思うんだ。うん。


**


いきなり教室を出て行った古橋がほんのすこーし心配になった。原くんってば優しい。エロ本を机に置きっ放しでトイレに行くと、水道の水がバシャバシャと流れている音がした。


「なあ古橋どうし…って何やってんの」

「なまえと目があったそれも二回も俺のことを見ていた」

どうやら、見てはいけないシーンを見ているみたいだ。幸い俺の声は聞こえていないらしい。

古橋はいつもの無表情ではなく、相変わらず目はしんでいるが口元が厭に笑っていた。こんな顔みんの初めてかもしんない。

そして鼻血を垂らしながら手洗い場で鼻血のついたネクタイをバシャバシャと洗っていた。

下を向いて洗っているせいで鼻血が手洗い場に落ちていってネクタイに何度も赤の斑点をつけている。それに気づいていないのか、古橋はぶつぶつとなまえの名を呼びながらネクタイを洗っていた。

なにこれ、どうすればいいの。

俺も笑顔が引きつってくるんですけど。

「あー、あの、古橋くーん??」

「…なんだ原何か用か?」

「や、まずきみ鼻血止めなよ」

鼻血が今だ出続けていることに俺に言われてから気付いたようで、指を鼻に当てると赤い液体が古橋の指に付着した。

「だから洗っても取れなかったのか」

ズボンのポケットからポケットティッシュを取り出して鼻血の応急処置をする古橋。

「今時の男子高校生がポケットティッシュ持ってるのにも驚きなんですけど」

「…なまえーー」

「え?」

「なまえと話したり目が合うだけで興奮して鼻血が出てしまうんだ。」

「……」

俺は何も言わずにトイレから静かに出て行った。水道からは未だに勢い良く水が噴出しているようで水の音が聞こえる。もうこのまま出てくんな古橋よ。

頬を赤く染めて辛そうに眉を下げる古橋に、俺はなんて言えばよかったんだろう。


(あれ、康次郎ネクタイどこやったんだ?)
(血が着いていて洗ったんだ。乾いていないからつけていない)
(血って?喧嘩でもしたの(あああああザキィィ!!)
(いってええ!おま、いきなり飛び蹴りは酷くね?!!)


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