「あつい…まこと、アイスうー」 「あ?自分でとってこいよ、俺スイカバーな」 「なによー。あんたこそ自分でとってこいよ」 ベッドにへばりつきながら、ベッドを背もたれにして携帯を弄っている真の背中を蹴る。すると麻呂眉を寄せて睨みつけられた。睨まれるのなんて日常茶飯事で慣れればとくに怖くない。 「ってえな。くそ」 「あーいーすうううう」 「…はぁー。」 溜息をはきながら立ち上がって冷蔵庫に向かう真。なんだかんだあいつは優しい。だから甘えてしまう。 「おらよ」 「つべたっっ!」 ベッドにうつ伏せて携帯を弄っていたら突然背中にアイスがのっかってきた。ちなみにごりごり君。ちなみにソーダ味。 「もー冷たいじゃんー」 「持ってきてやってんだから文句言ってんじゃねーよ」 「あーい。」 スイカバーをシャクシャクしている真がベッドに腰掛ける。シングルベッドに二人なんて暑い。そしていまだにうつ伏せ状態の私の足が邪魔だと言わんばかりに足の上に座ってくる。 「いてーよ!脹脛の骨折れるー!」 「邪魔だ」 「あーもー、はいはい。なんでベッドに座るかなー。行儀悪いぞー」 「ふはっ。寝ながらアイス食ってるやつに言われたかねーよ。」 「キィーッ」 ムカッときた私は仰向けになって足を真の腰に巻きつけて締め付ける。 「あちーよ。」 「ふはっ!いたいだろー」 「いや、痛くはねーけど。てかその状態でアイスくえんの?」 「……うー」 「おら。」 手を差し伸ばされてしまった。さすがの私も仰向けの状態でごりごり君はたべれないので嫌々ながらもその手をとった。ぐっと引き寄せられて上半身を上げる。いきなり起き上がったせいで頭がクラクラする。 「まことー、」 「ん?」 「べつにー」 「ん」 真の肩に頭を乗せてアイスを食べる。頭が落ち着いたおかげでめまいは徐々に収まる。シャクシャクとアイスを齧る音だけが響き渡る。真の肩は熱をもっていて熱い。きっと私の頭も熱いだろーな。 さっきよりも至近距離で上半身はほとんどくっついているのに、どちらも あつい離れろ、と言わないのはアイスのおかげ、だ。 私のわがままを聞いてください (まこと。) (あー?) (…なんでもない) (これ食ったら出掛けるか) (うん!ふふ) (ふはっ) (うぎゃーっ髪の毛ぐしゃぐしゃ!) (幸せそーな面だなあおい) (…もう…麻呂眉ビームッ!) (てえな!それ目潰しだろーが!) (ふはっ)
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