なまえの家のまえにいる。時刻は11:47。平日の火曜日だ。何故かというと火曜日のこの時間帯はなまえの家に誰も居ないから。彼女の父親は毎晩20:00に帰宅し、彼女の母親はこの時間は近所のいわゆるママ友会のようなものに出掛けている。ただその会は(多分昼食をとっているため)12:00を過ぎないと帰っては来ない。だが帰宅時間は不規則で、母親の正確な帰宅時間は予測不可能である。

そして俺は今日、彼女の家に入るため学校を休んでいる。どうやって入るのか、鍵は作成済みだ。彼女がいつも持っている自分用の家の鍵を一週間前に拝借した。(鞄の中に乱雑に入れられていた)そして複製した後、きちんと返しておいた。(彼女は俺が盗んだとは気づいていない)

と、いつまでもこの玄関のまえに居るのも不自然だ。周りに人が居ないのを確認してから鍵を使って中に入り込んだ。足音を立てずに二階に上がって、いつも見ている彼女の部屋に入った。

綺麗に片付けられているが、ベッドの上では脱ぎ捨てられたパジャマがそのままに放置されている。パジャマを手にとって口元に寄せると鼻腔に彼女の香りが入ってくる。何度か大きく吸い込んで、口元から離した。綺麗に畳んでおいてやろうかと思ったが、きっと彼女は不思議に思うだろうからやめておく。パジャマを置いて、そっとベッドの上に潜り込む。ぎしり、とスプリングの音が響いて心臓が少し早くなる。さすがになまえの体温は残っていないが、彼女の香りが漂っている。ベッドに横になって枕に顔を埋めると、彼女のお気に入りのシャンプーと体臭と軽く汗の匂いがする。深呼吸をするだけで彼女に包まれているような感覚に陥ってくる。身体中に熱が広がって下半身にどくどくと熱い物が流れるのがわかる。もう少しこのまま居たいがいつ彼女の母親が帰ってくるのかわからない、なごりおしくも早々にベッドから出て彼女部屋を見渡した。部屋の棚に飾られているバレーボールが目についた。いつだったか、女子バレーに所属している彼女は「家でも常にボールに触れている」と話していた。俺はそのボールを手に持ち、口付けた。彼女の香りよりゴムの臭いの方がきついが、興奮状態だった俺は舌を出して一舐めした。ただのゴムの味だ。だが、彼女が今日このボールに触れることを考えると優越感のような感覚が広がった。と、そろそろこの部屋を出た方がいいな。時計は12:01を指している。

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