「まって、「待ちません」
というか、待てません。
壁に押し付けた彼女の細い手首は簡単に折れてしまいそうで扱い方に困ってしまう。身長は小さいくせにやたら主張する胸元とか白い脚とか、彼女の全部が誘ってるように見えてくる。冷静だとか言われる俺も結局はただの男子高校生ってことか。
「どど、どうし、どうしたの」
驚きで言葉がうまく発せていない。俺より年上のくせに、今は年下のようだ。口元が厭に三日月を描く。
「けいじ、?」
ああもう涙目になって、声が震え出した。余計煽っているのに、それを気づいていないんだろう。そういうバカなところも可愛いなんて思う俺も中々末期だ。
彼女の脚の間に自分の膝を滑り込ませて距離をぐっと縮める。俺を見上げる彼女の濡れた目元を指でなぞると、彼女は肩を跳ね上がらせた。
「ち、近いよ…」
「だめなんですか?」
「いや、こんな、普通ありえないよ…」
だって私たち、姉弟でしょう?
彼女の発した言葉は俺の心臓を深く抉った。そう、こんな血縁関係じゃなければ、こんな思いはしなくてすんだのに。憎い。でも、彼女の一番近い距離を許されるのはきっと家族だけだ。
他の男にも渡さない。
「だから、なに?外国じゃ、キスやハグなんて普通です」
「こ、ここは日本だよ!京治、いい子だから離れて、こんな、玄関で…誰か来たらどう…っ」
煩いなぁ。彼女の唇に自分の唇を押し付けた。柔らかくて、くせになりそうで、離れたくない。また押し付けて、離して、彼女の唇を唇で弄んでいると、彼女の身体から力が抜けていくのがわかる。必死にTシャツを掴んでいる手が愛おしい。