ふたり、リュウノスケと私は公園のベンチに座っていた。私の膝は彼専用の枕代わりで、風に合わせて揺れるふわふわの黒髪を撫でるのが好きだった。
「おはよう」
目を開けたリュウノスケに声をかけるが、彼の頭の中は今だに眠っているようで、ぼやぼやとしている。20分ほど、何時もより少し短い睡眠だ。長い時は1時間寝ている時もあるのに。
「、はよ」
やっと思考が安定してきたのか、欠伸をしたリュウノスケは、ふっと笑った。
「短いね、今日は」
「授業で寝たから」
「それはいつもでしょ?」
「夢、見た」
「夢?」
「なまえの夢や」
「悪い夢だったの?」
「いや、」
言葉を途切れさせたリュウノスケの顔を覗き込むと、ぱちりと目があった。すると、リュウノスケの指が、私の唇に触れたのだ。するすると唇の端から端を指でなぞったあと、彼がそっと頭をあげて私の唇と彼の唇がくっついた。
「こやって、キスする夢」
「なんだ、ならまだ寝ててもよかったんじゃないの」
「その夢見てたら、キスしたなった、なまえに」
だから、起きた。と、にやりと口端を上げるリュウノスケにじりじりと顔の熱が上がっていく。この野郎、恥ずかしいじゃないか。
くちびるにラプソディー
(唇:愛情)
ペンギンブルーの襲撃様に提出