(逢坂くん→なまえ→日向くん→ヒロインという報われないお話です。)

遊園様に提出

君のことなら何でも知りたい。そう思ってから随分君のことを知ったと思う。好きな食べ物嫌いな教科お気に入りの歌、口癖や性格。そして、君の好きな人も。


お昼休みの時間に君を見つけた。まあ、探してたんだから当たり前だけどね。君はお弁当を持って広い庭に突っ立っている。大凡の事は把握できる。きっとまた彼奴なんだろう。

「日向くん」

小さく呟いた君の声は僕の苦手な声だ。愛しさと切なさが混じったため息交じりな声。ぼくが、ここに、いるのに!

「なまえ。」
「あ、逢坂くん」
「お弁当持ってどうしたの。外で食べる予定?」
「いや、その…うん。お天気良いから、外で静かに食べたいなって、思って」
「そう、よかったら僕も一緒にいい?」
「え、あ、どうぞ」
「何だが哀しい顔してるね」
「そんな、ことないよ。ほら!ここに座ろっか」
「そうだね」

座るように促された所に座ると、隣に君も座る。ここは確かに日陰になっているし花を咲いている素敵な場所だけど、君は、そんなものよりも数メートル先にいる日向と、日向と共にご飯を食べている女を見るためにここにしたんだろう?辛そうな顔するくらいなら見なければいいのに。

「大丈夫?」
「あ、うん!平気平気。お腹減って仕方なかったんだー」
「そうなんだ。これ、あげるよ」
「え?」
「僕が作ったんだ、よかったら食べて」
「いいの?ありがとう!」
「いいえ、はい、あーん」
「え、!」
「あーん」
「あ、あー、!」
「ふふ、おいしい?」
「う、うん、おいひ」
「よかった」
「ん、よかったらわたしのも」

顔を上げて停止した。目線の先を辿ると、日向が女にキスをしていた。なまえをみると停止したまま瞳に涙が溜まり始めていた。「なまえ」と声をかけると、はっとしたようにこちらをみて「なんでもない」って泣きながら笑う君。僕の中でもう耐えられなかった。そんな君を見るのもこんな辛い気持ちになるのも。

だから、君の唇を奪った。

僕を見て欲しい。僕を、僕を好きになって。泣かせないから。だから、それ以上泣かないで。

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