ペンギンブルーの襲撃へ提出


全一さんは私をベッドに押し倒したかと思うと、私の首もとに手を当てて笑顔で「なまえが好きなんですよ」なんて言うんだ。好きという言葉と首を絞める行為の関係性がわかりませんよ。

「殺したいくらい?」と冗談めかして聞くと「好きです。なまえも好きでしょう?」と首をかしげるから困ったもんだ。「わたしは、さほど好きではございません」今だって貴方には恐怖心しかないんです。そう言うと「そうですか。まああなたが私に好意がないのはなんとなく知っていましたよ」と開き直ったかのように全一さんは言う。

「なら、手を離していただけますか」「あなたが私を好まないからといってやめる理由にはなりませんね。好きになっていただくだけで良いんですよ。ね?」ね?じゃなくてですね。「そうすれば死ぬのもなにも怖くありませんよ」「死にたくないんです」首に巻きついている手に私の手を重ねると、少し全一さんが身じろいだ。「死にたくても死ねない怪物のような私は怖くてたまりませんか。」懇願するような声色に小さく首を振って「可哀想」と呟くと「あなたはそう言うと思いました」と薄く笑った。

「ただ私のものになっていただきたいだけなのですが。」そういって手の力を込めた全一さん。さすがに苦しい。息が浅くなってしまう。「全、一さん…」最後の力を振り絞って全一さんの名を呼ぶと「なまえ、」と言って手の力が緩まった。ごほっ。一気に喉が広がり酸素が入ってきて噎せた。「すみませんでした。」なんて言って咳き込む私の身体を優しく抱きしめるんだからずるい。可哀想なこの人を見捨てることができない私もきっと馬鹿なんだ。いつか本当に殺される時が来るんだろう。それでもいいかな、なんて。
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