「先生」「なんだ」「この状況は…えっと…?」「ん?」「いや…ん?でなくて…」

説明しよう。只今家庭教師である古橋先生に組み敷かれてます。私の部屋の床に。無表情なのが余計に怖い。

どんな反応するんだろう、とわくわくしながら「第一希望の大学に無事受かりました」と嬉々として告げると、先生は一瞬考え込んだような表情をして私の手首を掴んで押し倒してきたのだ。先生とは一年の付き合いだけどこんな行動されたのは初めてでものすごく戸惑ってるなう。

「大学合格おめでとう」「あ、ありがとう、ございます」「もういいか?」「は?」「この一年間耐えた俺を褒めて欲しいくらいだ」「はぁ」

なんだ、先生は何に耐えてたんだ。あ、わたしの家庭教師をもう辞めてもいいかってことかな。

「そ、そんなに辞めたかったんですか、私の家庭教師」「…そうだな」「そ、そうだったん、ですか」

何だが寂しい。私はこの一年で先生とは仲良くなれたと思っていたのに。先生はやはりただの仕事でただの生徒で面白みなんて感じていなかったのだろうか。たまに授業をサボって友達と遊んでいた時は着信に100件くらい来ていたくらいしつこかったのに。次の授業は誰と遊んだだのどこに行っていたのかだの質問責めされてしまったのでもうそれからは無断でサボってない。先生の誕生日に手作りのお菓子を渡して初めて照れた笑顔が見れた時は本当に嬉しかった。私の中にはたくさんの思い出があるのに先生の中には仕事が辞めたくて仕方ないという感情しかなかったのだろうか。

「何故泣いている」少し、驚いたような表情で私の瞳に溜まった涙を拭う先生。いつの間にか泣いていたらしい。

「わ、たしは…先生でよかった、って思ってます…!」「俺も、なまえでよかったと思っている」「…?」「なんだ」「先生、早く、私の教師…辞めたいんでしょ?」「…ああ、そうじゃないと、犯罪だからな」「え?」「好きだ、なまえ。俺と、付き合ってくれないか」「え」「教師だと受験が終わるまで手を出せないが、もう教師としてお前と接しなくていいだろう?」

いきなり色々言われすぎて頭が着いていかない。え、なに、告白…されたの?先生に…?

「えっと…」理解してから恥ずかしさが込み上げて来た。上からじっと見られているし顔に熱が集中してくる。「わ、私で…よければ」「、よかった」少し表情を綻ばせた古橋先生はそっと唇に触れるだけのキスをした。「せ、先生…!」「もう俺は先生じゃない。」「こ、康次郎…?」初めて呼んだ先生…じゃなくて康次郎という名前になんだが心が擽ったくなる。康次郎は何故かうっすらと涙を溜めて顔を赤くしていた。口元を手のひらで隠して「うれしい」と呟いた。何この人可愛い。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -