ちょっとおかしい。いやだいぶおかしい。「は、名前…」耳元で聞こえるのは確実に荒北君の声だ。荒北くんの家に遊びに来たのは数時間前。テスト期間で部活がない日に勉強を教えてもらっていたのだ。勉強に疲れて荒北くんのベッドを借りて休憩しているうちに寝てしまったらしい。そして目が覚めたら何故か荒北くんは息を荒くして、その、ほら、アレ。アレを私の腰に擦り付けていた。起きたことを悟られないように狸寝入りしているのも辛くなってきた。どうしよう。

恋人ではないが荒北くんとは仲良くさせてもらってる方だと思う。友達、と言うと荒北くんはいつも不機嫌になることが多い。多分私のような平凡な女なんかと友達と思われたくないんだろう、と思ってる。新開さんには「おめさんも酷い女だね」なんて笑われてしまったが。でも、でもね、仲が良いことには違いない。違いないよ?でもね、荒北くんのアレを擦り付けられるような仲では無いはずなんだけど。

「名前…っ」悶々としている間にも私の腰には相変わらず熱いソレが擦り付けられている。荒北くんがそういう趣味だったとは知らなかった。というか私相手に何でこんな。どんだけ溜まってんの、あれ、そういうことじゃない?救いはお互い服を着ていることだ。直に擦り付けられていたらたまったもんじゃない。もうこれは早く終わることを願うしかないのだろうか。ずっと同じ体勢で寝ているのも辛いんだけど。でもここで「何してるの」って声をかける勇気もない。早く終われ。

「なぁ名前…ほんとは、起きてンダロォ?」

そっからは覚えていない。





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