幼馴染のザキが迎えに来てくれた雪の日。珍しく寝坊してしまった。急いで出て行くとザキがマフラーに顔をうずめていた。

「おいお前マフラーは?」ザキに言われてはっとした。いつもより涼しい喉元に手を当てる。「あー…忘れた」とつぶやくと「あ?おいこのさむい日に忘れてんじゃねーよ。おら」と、ザキの黒いマフラーを私の首に巻きつけてくれた。「わ」あったかい。「無いよりましだろ。使え」「さんくす」「おう」あったかくてマフラーに顔をうずめる。

「ザキの匂いがする」と無意識に言ってしまった。ザキは何故か顔を赤くしてすこし慌てていた。「おい…っああもう、ったく早く行くぞ」と自然と手を握られる。ザキは毎朝手を握ってくる。恋人じゃあないんだけど。どちらかというとオカン。「雪、あぶねえから。気をつけろよ」といって私の数歩前を歩いて私が歩く道の雪をよけてくれている。トゥンク。

「ザキって優しいよね」「そーかー?」「うん、そういうとこ好き」「ば!おまえそういうこと言いふらしてんじゃねーだろーな?!」「うん、ザキだけ」「…ならいーけどよ」うわ、顔真っ赤だザキ。ふふふ。

「やっぱお前はほっとけねーんだよな」ボソリと呟いた言の葉は雪と一緒に溶けていった。


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