霧崎第一高校男子バスケ部のマネージャーとして活動してますなまえです。マネージャーの仕事はいわゆる雑用がメイン。けれどその常識はあの人には通用しそうにありません。



練習を頑張るみんなのためにスポドリを用意して渡さなければならない。練習で汗をかき水分を失っている彼らには即時に渡してあげることが大切。わたしはできる限り多くのドリンクを抱えて休憩のホイッスルを待っていた。

するといつの間に近づいていたのか、康次郎くんが私の腕からドリンクを奪って行った。1本ではなく抱えていた半分以上を。あ、と思った刹那、ホイッスルが鳴りひびいた。

「康次郎くん!」周りのメンバーにドリンクを配ろうとしている康次郎くんに駆け寄る。「ん?」と顔だけ振り向いた康次郎くんに「わたしが持つよ」と手を差し伸べると「いや、いい。お前には重いだろう」と断られてしまった。

「それくらい大丈夫」というと「俺が持ちたいんだ、気にするな」と言われてしまい、ついつい 「…ありがとう」と食い下がってしまう。彼はどうにも私に持たせる気は無いみたいだ。また、疲れているメンバーに仕事させてしまった。そう思うといかに自分が不甲斐ないのかと落ち込んでしまう。

ため息を飲み込むと、真くんが舌打ちをしてこちらにずんずんと長い足を動かしてやってきた。そしてドリンクを配る康次郎の元へ行き真くんの分を奪い去った。

「おい康次郎。またアイツの仕事奪ってんの?」と彼を睨む真くんに自分が責められているような気分になる。「奪ってない。無理なことはやらせないだけだ」

できるよ!と言い出したくても言えない苛立ちを、拳に強く握ったところを真くんに見られてしまった。真くんは此方を少し見やりながらため息交じりに呟いた。

「俺は出来ないことは指示しねぇし、お前がなんでも代わりにやるからアイツがいちいち気にしてんだよ、察しろ面倒くせえ」

そう言うと 「…そうなのか?」と少し驚いた表情をする康次郎くんに、おどおどしていると、「…お前も思ったことはちゃんと言え。じゃねぇとお前が居る意味ねえだろ」ズシリと心に重く乗っかった真くんの言葉。

「ごめんなさい、真くん」
「俺に任せておけばいいんだ。」
「ううん、わたしもしっかりみんなのために働きたいから」

彼の目を見つめていうと、「…出来ることだけでいいからな」とものすごく心配そうに見つめてくる康次郎くんに少し申し訳ない気持ちになる。きっと今までも私のことを心配して手伝ってくれていたんだろう。頼りないマネージャーでごめんなさい。「うん」と笑顔で答えると、康次郎くんも口端だけで笑って返してくれた。



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