待ち合わせ場所に少し遅れて到着すると人が少ない中に目を引く男がひとり。黒いパーカーに赤髪で目つきの悪い男といえばもうヤツしかいない。ザキである。


「遅刻してんじゃねーよ」


私を見つけたザキは元から悪い目つきをより悪くして近づいてきた。


「男の子のくせに早いよね」


ごめん、も言えない私は本当に可愛くないんだろうけどザキだから大丈夫。この人は私の気持ちをしっかり分かってくれる唯一の人だから。


「五分前行動は基本だろ」

「ひっ!女子か」

「はあ?お前が中身おっさんなだけだろ」

「失礼な!ザキのくせに」

「ザキのくせにってなんだよザキのくせにって」

「まこちゃんに言っちゃうぞー」

「あ!また花宮を使おうとしてんじゃねーよ」

「ビビり山崎には効果アリだからね」

「ビ、ビビビビりじゃねーよ!!」

「ビビりじゃんそれ。」

「ああ!それより早く行くぞ!」

「え?」

「あ?映画だろーが」

「上映時間まだまだだけど」

「飲みもん買ったりトイレ言ったりパンフレット買ったりすんだから早いめのがいいだろっ」

「はぁ。(早い目ってかこれきっと早すぎだよ)」


まあ、あのはずかしがりのザキが手を繋いでくれたから良しとしよう。



せっかちというか心配性というか…

めんどくさい彼氏である。


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