ピンポーン


「瀬戸くん!なまえちゃんですよ!!」

ガチャ、

「…でかい声を出すなよ。」
「だって瀬戸くん寝てるだろうなーって」
「…エスパーか?」
「いや、あんだけいつも寝てるんだから想像つくよ。それに寝癖」

寝癖のついている髪の毛をひと撫ですると、瀬戸くんも髪の毛に触れて「あ、ほんとだ」とあくび混じりに呟く。こやつずっと寝てたな。

「ま、はいってくれ」
「はーい、お邪魔します!」

黒を基調としたシックな部屋。ものが散らかってない!ほんとに高校生かこの人。

「ねーエロ本は?」

「ねぇよ」

「ええーないのー」

「んなもんいらねえ」

「あー頭の中にあるってことですか」

「どうだろうな」


はぐらかされてしまった。エロ本くらいあると思ったけどAV派なのか。

綺麗に並べられている本棚を調べようと思って本に手を伸ばして触ろうとすると、後ろからぬっと瀬戸くんの手が重なった。


「それに触らないでくれ。バランスが崩れる」


…バランスって。なによ。


「AV探そうかと」

「馬鹿か。あまり部屋のものを崩すなよ」

「この几帳面め。」

「物の場所を決めてるだけだ」

「それがめんどくさいのよっ」


ベッドにボスんッと飛び乗ると瀬戸くんの匂いがフワッと香った。ふっかふかだなこのベッド。


「AVどこよ」

「ない」

「は?ないの。DKが?」

「DK?」

「男子高校生」

「略すなよ。てか探すだけ無駄だぞ」

「ええー瀬戸くんがどういうのが趣味なのか気になったのに」

「…」


ベッドの上でうつ伏せていると、瀬戸くんが携帯をいじっていた手を止めて近づいてくる。長身がゆっくり近づいてくるので警戒していると、手を掴まれて耳元で囁かれる。


「お前、好き」

「は?」

「あと綺麗好きってステータスさえあれば完璧」

「…すまぬね。綺麗好きな彼女じゃなくて」

「ふっ冗談だよ」

「のっぽのっぽ!ばかのっぽ!ぁいて! 殴るなばかめ!」

「俺に馬鹿って本気で言ってるのか?」

「すんません嘘ですごめんなさい。馬鹿はわたしです」

「わかればいい。」




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