「なあ、なまえ」

げほっげほっと咳き込む私を見て花宮くんは歪に笑っていた。どうしてこうなった。なにが原因なんだ。

「俺はお前に言ったよな。お前は俺のもんだって」「わたしは、げほっ、誰の、もんでも、ない」「あ?まだそんなこと言うのかよ。お仕置き希望者なのかな?」なのかな?なんて可愛らしく言う花宮くんをきっと睨むが、それこそ面白いかのようにふはっと笑い出した。

何度も蹴りを入れられた身体が痛くて立つことができない。辛い。涙が滲んでしまう。花宮くんは一体どうしてしまったんだ。さっきまで優等生だったのに。

「俺は、ずっと我慢してたんだ」私の涙に濡れる頬に優しく手を触れて、眉をよせる花宮くん。切なげな表情にさっきまでと別人のように思えてしまう。「俺は、お前が心配で…守ってやらねえとって…」そういって俯いた花宮くん。泣いているのかと思ったら口元が不意にヒクついて半月を描いた。

「花宮くん?」「なんて言うわけねぇだろバァカ」そういって歪に笑った花宮くんはパン!と私の頬を叩きつけた。目の前のハナミヤくんは花宮くんじゃない。

「なまえは俺を嫉妬させたかったようだが、残念だな。なまえと仲良しこよししてた男どもも今じゃ…ふはっ!」「最低…」「何とでもいえよ。お前は俺と一緒に堕ちるんだよ」見上げたハナミヤくんの手にはナイフが握られていた。ああもうここでこの人とわたしは。




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