イナgo白竜夢


その日は、あるゴッドエデンの朝のこと。

起床時間までまだあるのでベッドで眠っていた。 部屋は私一人分なので、何をするにも相手を気に する心配がないので、自由に使っていた。と言っ ても、もうこの施設は表向きでは聖帝の指示で閉 鎖されているのだが…。

しかし、サッカー禁止令によって、公ではサッ カーをすることが日本の法律で許されない状況に なってしまった為、元シードはこのゴッドエデン にきていたのだ。もちろん、サッカーをやりたく て。皮肉にも、ここなら自由にサッカーをするこ とも温泉に入ることもできる。 そして何故か、未だにここで生活できるように なっているのだ。恐らく、シュウもいるから全て の施設の廃棄ができないのだろう。まあ、そのお かげでこうしてサッカーができる環境が残ってい た訳だが…。

「いつまで布団を被っている!朝だぞ!起きろなまえ!!」

眠っていた私の耳に急に入ってきた声は白竜のも のだった。しかし、どうやって入ってきたのだろ うか。昨日は確かに鍵をかけたはずだ。まさかド アを壊したのでは?と思ったが、ドアの方を見る と壊れてはいなかった。

「白竜、どうやってこの部屋に入ってきたん だ?」

それを聞くと、待っていたぞ!と言わんばかりの ドヤ顔で、満足げに話を始めた。

「フッ、このマスターキーを使ったのだ。このオ レがマスターキーの存在を忘れているとでも思っ ていたか?さぁなまえ起きろ!」

良く見れば彼は私服だった。そのポケットに大切 そうに何処からか拝借したマスターキーを入れる と、これまた嬉しそうに「起きろ」と言ってい た。

「…昨日は、温泉に入るぞ!とか言って私をたた き起こして、無理やりフェリーに乗せて挙句船酔 いで寝込んだんだぞ。それで今日は何だ?山に 行って山菜でも探すのか?それとも滝でも登るつ もりか?私はまだフェリーでの船酔いの気持ち悪 さと昨日の疲れが溜まっているんだ!!」

「今日は森に行くぞ!!」

「人の話をお前は全く聞かないな…。…わかっ た、もう少ししたら起きる。先に朝食を食べて来 たらどうだ?否、先に行っててくれ、私は眠いん だ…」

「何を呑気におねんねしている。森林浴でもすれ ば、船酔いの気持ち悪さなどすぐに治るだろう。 そんなに眠いなら、昼寝させてやってもいい。だ から早く起きろ」

そう言った白竜は、私から毛布を取り上げた。寒 い。これでは寝ていられない。顔をしかめて、仕 方がなく私は体を起こした。

「………」

不機嫌な表情で彼を見つめた。しかし、何故か楽 しそうにしている。まさか私の機嫌が悪いことが そんなに楽しいのかと思ったが、そういえば彼は そんな風に捻くれた人間ではなかったことを思い 出した。

「……楽しそうな顔だな、白竜」

「当然だ。お前と一緒に過ごせるのは、オレに とって幸…」

「着替えるから部屋から出て行ってくれ」

彼の言葉を遮って、部屋のドアへと連れて行く と、素直に部屋の外へと出て行ってくれた。一 応、待っていられないのなら、先に行っててくれ と言ったが、こういうことにも真面目な彼は、律 儀に部屋の前で待っていてくれていた。

「………」

一緒に過ごせるのはオレにとって幸せだ。 恐らくそう伝えたかったのだろう。着替えをしな がら、先程白竜が言おうとしたことを思い出し た。真剣な顔でそういわれると、何だか顔が熱く なってきた気がする。 まさかね…と思いながら、部屋のドアの方に視線 を向ける。

「………」

「………おい、白竜…」

そこには赤い瞳がこちらを見つめていた。声をか けると、「何だ」と返事が返ってきた。

「今お前がやっていることは、世間では『覗き』っていう犯罪なんだぞ」

知っていたか?と、問うと白竜は「世間の目を気 にするとは、まだまだ小さい人間だな!」と言わ れた。 何が小さい人間だ。白竜、お前はもう少し世間の 目を気にするべきだ。そうでなければいつか警察 のお世話になるか、変人扱いを受けることになる だろう。しかし、私はそれを言う前に近くに置い てあったサッカーボールを彼の顔面めがけて蹴っ ていた。 ボールは見事に白竜の顔面にクリティカルヒット した。倒れた彼を確認して、思わず嬉しくなりお 気に入りのゴールアクションをしてしまった。よ し、今日は調子がいい。

「さて、準備の続きをするか」

そう言って倒れた白竜をそのままにして、準備を 続けた。

おまけ

「今日は特別に昼寝しても構わんぞ!」

「何を急に言い出すかと思えば…」

「遠慮する必要はない。寂しいのなら、オレが添 い寝をしてやらんこともないぞ!!」

「それが狙いだったか…本性出しやがったな、こ のスケベ。究極馬鹿。そんなものは必要ない」

「く…っ!いつになったらなまえはオレを…!」

「一緒に昼寝がしたいのなら、どうして最初から そう言わないんだ…。全く、お前は……白竜、 さっさと私の横に来たらどうなんだ?」

「!!!」

「……腕枕くらいはしてくれるのだろうな?」

「もちろんだ!!!」



back









第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -