ガス切れだ…
巨人の手によって足場を崩された今、
宙に浮いた自分の体をどうすることもできない…
走馬灯のように、
巨人共の手によって死んでいった仲間たちの表情が、叫び声が
肉の切れる音が聞こえる…
その次には、
自分の前で口を大きく開く巨人が
視界に入った
いつかは自分の番が来ると覚悟はしていた
だが、
覚悟なんてものは
いざというときに必ずしも自分にとって都合よく事を動かしてくれる訳ではない
「・・いっ・・・・や・・・・・・だっ!」
死ぬ直前まで恐怖や痛みを味わうのは…
死ぬ前に恐怖の世界から目を閉じた
自分が落ちる事によってすれ違う空気の音や、
目前に迫る巨人の気配が、
すべてが怖くてたまらない
もうだめだ…
そう、死の痛みを覚悟した
全身を何かに包まれた
巨人の手か…
そう思い、体を強張らせると
今度は硬い何かの上に乗せられた
きっとこれは歯なのだろう
次の瞬間
肉の切れる音が耳に入った…
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