「伊月先輩、お疲れさまです!」
「宮内もお疲れさま。帰らないの?」
「今丁度帰るところでした!」
「じゃあ一緒に帰ろう?途中まで一緒だし」
「はい!」
可愛い可愛いこの後輩は、うちのバスケ部のマネージャーをやってる
新入生達に声をかけてるときに見かけて、一目惚れしてマネージャーに誘った
最初はルールがわからないからと断られたけど、
俺が責任持って教えるし、せめて仮入部でも!って必死に誘ったらOKしてくれた
最終的に本入部もしてくれて、約束通り俺が簡単にルールを教えてあげた
他の人からは評判の悪い俺のダジャレにもちゃんと笑ってくれるし、
皆に対して優しいし、気が利くし料理が上手いし.........
声かけて良かったって心から思った
「先輩?大丈夫ですか?」
「えっ?あぁごめん、ボーッとしてた」
「大丈夫です。部活後だから疲れてるんですよ!」
「ははっ、あんまり疲れてはいないよ。宮内は優しいな」
「伊月先輩が優しいから、私も先輩に優しくしたいって思うんです」
君の優しい笑顔にドキッとする
「.......宮内にとって、俺って何?」
勇気を振り絞って聞いてみる
「うーん、優しいお兄ちゃんです!」
私お兄ちゃん欲しかったんですよね〜と微笑む君に、胸が痛む
「そっかお兄ちゃんか.....俺は宮内の事、妹として見れないな......」
「えっ?」
「.....1人の可愛い女の子として見てるから」
そう言うと、少し頬を赤く染める君
「っ、ちょっと先輩!からかわないで下さいよー!」
「俺は本気だよ?」
立ち止まって宮内の方を向くと、宮内も歩くのを止めて、俺を見つめる
「ずっとずっと前から、俺は宮内の事、片想いの相手として見てた」
「せん、ぱい?」
そっと手で頬を撫でてやると、くすぐったいのか、顔を背けようとするので、もう片方の手も使って、両頬を包む
「.....返事はいつでも良いけど、これだけはやらせて?」
そう言って、宮内のおでこにそっとキスをする
「あっ」
顔を真っ赤にして驚く彼女に、優しく微笑んでから
「宮内気づいてないかもしれないけど、もう家の前に着いてるぞ?また明日な」
そう言ってその場を離れる
余裕ぶってるけど、少し速い自分の心臓の音を聞きながら、君の事を想う
前向きに考えて貰えますように、
恋よ、来い.......
「ハッ!キタコレ!!」
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[mokuji]
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