部活終わりの暗い帰り道
後ろから走ってくる足音が聞こえてくる
「てっちゃーん!!」
「あ、マリンさん…あの…その呼び方いい加減やめてもらえませんか?」
「えー。じゃあ…黒子っちは?」
「…黄瀬くんの真似はやめてください」
「じゃあ黒子くんでいーよ、もう」
「それは嫌です…」
「はぁ…」
少し口を尖らせて、横を向いて歩いている彼女の手をさわってみる
「んっ?どうしたの?」
「僕と二人っきりの時は…下の名前で呼んで欲しいです…」
一瞬驚いた顔をした彼女だが、
すぐににっこり笑って
「りょーかい!!じゃあ、テツヤ君って呼ぶから、私の事もマリンって呼んでね」
「マリンさん…」
「うん!!テツヤ君!!」
「さっきの言葉は僕なりの告白だったのですが…」
「ん?なんか言った?」
「いいえ。何も」
嬉しそうに笑いながら手を握り返してくれる君を見たら
それで満足してしまう自分がいる
きっと今はまだ、
名前の話も、繋いだ手の事も…
ただのスキンシップ程度にしか思われてないのかもしれない。
でもいつか、
君が僕を意識してくれると信じて
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