「宮内さん居る?」








昼休みに友達とお弁当を食べていると、
隣のクラスの加藤君がやってきた





彼とは同じ美化委員で、よく一緒に仕事をしている





「どうしたの?」


「あーいや、えっと…ちょっとここだと話せないから、屋上に行かない?」


「わかった!」








何の話だろうと思いながら、謎に満面の笑みの友達に事情を話して教室を出る






途中で青峰君とすれ違ったとき、一瞬目が合ったのにビックリしてすぐに私から逸らしてしまった













「あの…さ、もう気づいてるかもしれないけど」


「うん?」





屋上に着くなり、少し恥ずかしそうにしながら話し出す加藤君





「俺、宮内さんの事が好きなんだ。付き合ってください」


「えっ!」







委員会の仕事を変わって欲しいって話だと思いこんでいたら、予想外にも告白だった
だから屋上なのか、とか変に冷静に考えてしまう辺り、
私は頭がおかしいのかもしれない




「へ、返事は今すぐじゃなくて良いから、考えておいてください」





そう言って足早に立ち去ってしまった彼を追うことができず、
どうしようかと1人考えていると、再び屋上の扉が開いた







「っ!青峰君…もしかして聞いてた?ごめんね、なんか」



「別に、返事はどうするんだ?」






やってきたのは青峰君で、そういえば彼はよく屋上でサボっているからお昼も屋上なのかなって思って、
とりあえず謝ると、何だか私にとって複雑な質問をされた




「んー、どうしようかなって……」


「あいつの事好きなのか?」


「わかんない。加藤君は普通に良い人だし、告白して貰えたのは嬉しいけど、」


「けど?」


「…私好きな人居るんだよね、絶賛片想い中の」






本人を目の前にして言うのがおかしくて、思わず苦笑いしてしまう





「ふーん………」


「うん、まぁ、もう少し考えてみるよ」






興味無さげに返されたのが悲しくて、これ以上青峰君と一緒に居たら涙が出てしまう気がして
教室に戻ろうと歩き出すと、腕を捕まれた




「あの…青峰君、離して?」


「俺にしとけよ。」


「えっ?」


「俺と付き合ったら、そうやって辛そうな顔させないし、俺と付き合えよ」




真剣な表情でそう言われ、息をするのを忘れかける





「な、んで、そこまで言ってくれるの?」





だけど私は欲しがりだから、別の言葉が聞きたくて、
何とか言葉を発する





「そんなの、俺がお前を好きだからに決まってんだろ。一々言わせんな」





口調は少し強いけど、でも赤くなった頬と恥ずかしそうに逸らされた視線が可愛く見える





「でも、桃井さんは?付き合ってないの?」



「はぁ?……あー、さつきはただの幼なじみだから気にすんな」



「そっか…」





安心して思わずため息が出る




「で?返事は?」



「あっ!えっと………私も青峰君の事が、その、好きです。片想いしてました………」





顔に熱が集まるのを感じながら
でも伝えなきゃいけない気がして正直に伝えると
少し強引に腕を引かれ
優しく抱きしめられる






「今度バスケの試合見に来いよ。もっと惚れさせてやるから」



「うん、期待してます」



「はっ!なんだそりゃ!」







突然のお誘いに驚きつつ返事をすると、優しい顔で笑われる






彼の鼓動と温もりを感じながら
昼休みの終わりのチャイムが鳴るまで、幸せを噛みしめた









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