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中学校生活の残り少ない授業の移動で


忘れ物を取りに戻った為友達と別で向かっていた私は
正面から宮内さんが歩いて来るのが見えた瞬間
勝手に動揺したせいで持っていた教科書の上から筆箱が落ち
悲しくもチャックをしてなかったから中身をぶちまけてしまった



「大丈夫ですか?」


「あっ、ありがとう、、、」



宮内さんは駆け寄って拾うのを手伝ってくれた


女子の中でカラーペンを沢山持つのが流行っていて
私も大きめの筆箱に沢山入れていたので無駄に量が多い


何でチャックを閉めておかなかったんだろうと思いながら
綺麗な膝を廊下の床について拾い集めてくれてる宮内さんを
初めて近くで盗み見る


女子の私から見てもドキッとするくらい可愛いし良い子そうだなって思っていたら



「宮内?」



低い、けど優しげな伏黒君の声が聞こえて
声のした方を見れば教科書を持った伏黒君が立っていた



「あ、伏黒君」


「どうした、大丈夫か?」


「うん」



答えた宮内さんを見た後私と床の状況を見て理解してくれたのか
伏黒君もペンを拾うのを手伝ってくれる



「ごっ、ごめんね私が筆箱落としたせいで、、、」


「たまにやっちゃいますよね」



そう言って嫌な顔一つせず拾い集めたペンを渡してくれる宮内さん


伏黒君も私にペンを渡してくれる



「2人ともありがとう」


「いえいえ、もうすぐ授業始まるしお気をつけて」


「うん、本当にありがとう」



笑顔で教室の方へ歩いて行く宮内さん
歩く後ろ姿すら可愛く見えてしまう



「宮内」


「?」


「昼そっち行く」


「うん、じゃあまたお昼にね」


「あぁ」



きっと連絡先を知っているだろうにわざわざ声をかけた伏黒君は
振り返って笑顔で答えた宮内さんを見つめている


宮内さんは伏黒君に手を振った後笑顔のまま私にも会釈してくれた



「、、、俺達も行くか」


「あっ、うん!」



宮内さんのおかげで私はひっそり片想いをしていた伏黒君にペンを拾って貰えて
卒業前に2人で移動教室の場所まで歩く思い出が作れた


ひっそりと恋をしてひっそりと失恋してしまったけど


間近で宮内さんと伏黒君のやり取りを見て
宮内さんと話してみて
2人が幸せになったら良いなと勝手に思ってしまった












「姉ちゃん、今日学校に伏黒さんと宮内先輩来ててさ」


「えっ!?」


「何か森下さんち葬式やってたじゃん?それと八十八橋の事調べてるみたいでさ〜」


「、、、、」







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