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皆ほとんど近所の同じ高校に進むけど
中学生最後という事もあり男子も女子も浮足立つバレンタインの日


伏黒君がどこの高校に進学するかわからないし
弟と家族の仲を戻してくれたお礼だから、、、


そんな言い訳を考えながら朝早めに登校して
そっと伏黒君の机にチョコを入れる


私が誰かにチョコを渡そうとしたって他の人にバレないように
図書室で時間を潰してから教室に行けば
甘い匂いと共に男子も女子も楽しそうに過ごしていた


顔立ちのせいか、強さのせいか大人っぽいクールさのせいか
伏黒君は女子に人気があるみたいで


何人か直接チョコを渡しに来たり
本人が居ない間に机やロッカーに入れに来る子が居たけど


伏黒君は全部受け取らなかった


呼び出しはその場で断られ
ロッカーや机に入れられていた物は
私のも含めてロッカーの上に置かれていた


一貫して誰の物も受け取らないらしく
きっと友チョコ以外貰えてないクラスの男子達は
伏黒君が教室に居ない時に不貞腐れていた


でもお昼休みの終わり頃
伏黒君が黒い紙袋を持って戻って来たのだ



「お前それどうせ3組の宮内さんのだろ!何で伏黒ばっかり〜」


「、、、ただの義理だろ」



不貞腐れていた男子がそんな伏黒君に声をかけて
お昼休みで賑わっていた教室内はすぐに静まり返った



「3組の男子から聞いてんだよ、宮内さんが配ってたチョコは手作りじゃなかったってな」


「!!」



驚いて固まる伏黒君なんて初めて見た


多分クラスの皆がそう思っただろうに
それだけでなく口元を固く結んで俯いてしまった



「あの伏黒が顔赤くしてるぞ!」


「えっ?カマかけたけどマジチョコ?見せて見せて!」



あっという間に男子に囲まれてしまった伏黒君は
すぐに不機嫌そうな顔になって紙袋を奪おうとする男子達を文字通り蹴散らし
やってきた先生に怒られてしまっていた


伏黒君はきっと宮内さんの事が好きなんだろうな


自分のチョコを受け取ってもらえなかったのに
呑気にそんな事を考えていた私も


宮内さんと話た事が一度だけある





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