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3年生になってから
校内で問題児として有名だった伏黒君と同じクラスになった


後から同じ中学に入った弟は中学生になってからグレてしまい
家族にも暴言を吐くようになってしまって両親も悩んでいたのに


恐らく学校で伏黒君に挑んで来たであろう日に
ボロボロのまま帰宅してきた彼は心配して駆け寄った私と母に
「ごめん」
少し気まずそうにそう言ってから
見た目は不良少年のままだけど
家では以前までの弟に戻ってくれた


クラスメイトどころか学校の人達に興味が無さそうな伏黒君だけど
暴力を振るうのはいつも不良やいじめっ子にだけで
暴力は良くないけど伏黒君のそれのおかげで平和になるクラスや家庭もあるのではないかと
私は密かに救世主的な存在として見ていた


確かに最初は怖かったし
名字が近かったので一緒に日直になったり
クラスの事務的な会話以外話す機会は無かったけど


話す時不意に見える優しさや綺麗な顔立ちに
私はいつの間にか、密かに恋心を抱いてしまっていた


でも憧れが強かったからか付き合いたいとか想いを伝えるつもりは全く無くて
かっこいいな。今日は何か話せるかな。そう思うだけで楽しめるような恋だった


そんな中学校生活の終わりが近づいてきた冬


とある女の子が隣のクラスに転校してきた



「なぁ、伏黒って転校生と知り合いらしいぞ」


「げっ、後で声かけようと思ったのに、、、」


「多分今隣行ってる」



休み時間


クラスの男子の会話が耳に入ってきた


3年生のこの時期に転校してくるだけでも話題になるのに
噂によると凄く可愛いらしくて今日1日学校では転校生の話題でもちきりだった



「藤沼さん、先生が委員会の事で話あるって」


「あ、ありがとう」



私もその噂の転校生が見れるかな


その転校生への興味なのか
そんな転校生と知り合いだという伏黒君への興味なのかわからないけど


職員室に行くついでに隣のクラスの前を通る時
視線だけ向けて見ることにした


でも教室の中に転校生も伏黒君も居なかった



「!」


「そうか、、、何かあればすぐ言えよ」


「ありがとう。伏黒君隣のクラスなんだもんね?」


「あぁ」



階段を降りようとした時


上の方から伏黒君の声と聴き心地の良い女の子の声が聞こえた


本当に知り合いなんだ、、、


その女の子は伏黒君とどういう関係なんだろう


さっき覗いた隣のクラスの子達は表情が微妙そうだったから
"問題児"の伏黒君と知り合いって事に驚いただろうな





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