3 入場開始のアナウンスが流れたので皆で少し列になっている入口へ向かう 伏黒君にポップコーンとドリンクの乗ったトレーを持って貰ってるので チケットをチェックしているお兄さんに2枚見せると 今回の映画のポスターと同じ画像が入った栞を2枚貰った 「何だろうこれ、、、席についたら伏黒君の分渡すね」 「あぁ、入場特典らしいぞ」 「渋い特典ね」 野薔薇ちゃんも受け取った栞をヒラヒラとさせている 階段を登りチケットに書いてあるのと同じ英数字を探し席に座ると 肘掛けの前にある凹みにトレー置いてくれる伏黒君 なるほど、便利な設計だなと感動していると 一段上の後ろの席に真希さんと狗巻先輩と野薔薇ちゃんが座った 狗巻先輩が買ったポップコーンを3人でシェアするらしい 他の映画の宣伝等が流れていたので静かに始まるのを待つことにした 学校の視聴覚室にあるようなスクリーンよりも 遥かに大きな映像と音にそわそわしながら後ろの席を見上げると 足を組んで前を向いていた真希さんはチラリとこちらを見てくれて 野薔薇ちゃんはスマホを弄っていて私に気付かず 狗巻先輩はニコッと微笑んでくれた 微笑み返して前に向き直すと 私がそわそわしているのに気付いたのか 隣の肘掛けにあった伏黒君の手がポンポンと優しく私の手に触れる 「ふふ」 「、、、、」 「?」 私も真似して伏黒君の手に触れると 伏黒君は私の反対側に顔を向けてしまった そっと劇場内が暗くなり 色々な会社のロゴを映しながら映画が始まった [ ← | → ] |