依依恋恋 | ナノ



「じゃあ宮内さぁん、お願いねぇ」


「あ、朝じゃダメかな、、、?」


「はぁ?美彩が困ってるのにアンタ明日まで引き伸ばすつもりなの?」


「てゆーかお前智君と話すなって言ったのに話した件についてまだ許してないんだからさ、そういう態度取るのおかしくない?」


「ご、ごめんなさい、、、行ってくるね」





同じ中学の子達とも上手く関係を築けなかった私は


女の子達にクラスの男子と話すなって言われたのに声をかけられて無視ができず


ずっと無視をされてしまったり、教科書や提出用のプリントを隠されてしまったり


たまに体操服等すぐに替えの効かないものを捨てられてしまったり


着替えがない日の登校中に水を浴びせられたり


所謂いじめを受けていた


それでも身寄りがなく通う学校を選べない私は


そこから逃げることなんて許されなくて


逃げる勇気すら無くて


なるべくこれ以上酷くならないように


それだけを考えて生きていた



「だい、じょうぶ、、、大丈夫、、、」



今もクラスの子の忘れ物を深夜の学校に入って取ってくるように言われて


ちゃんと行くように見張られながら裏門から1人真っ暗な学校に忍び込んでいる


幼少期から他の人には見えないものが見えていて


唯一小学生の時から面倒を見てくれていた祖母に


見えていることや、私に出来ることを他の人には話してはいけないと言われながら育って


幼少期はその理由がわからなかったけれど


今ならわかる、その事を話さなくても上手くいっていないのに


話したらきっと今以上に酷いことになっていただろう


祖母が認知症で介護施設に入ってしまってからは私も児童養護施設に入りそこで生活し


寂しかったけど定期的に会いに行けた祖母も昨年亡くなってしまい


本当に1人になって、毎日自分にだけ見えてしまうモノ達と


何をどうしても仲良くして貰えない学校の人達


話す時は笑顔だけど相談事なんてさせて貰えないような圧を感じる施設の人達との間で


地獄のような人生を生きている


特に学校には怖いモノが沢山居て


心做しか昼間より倍以上居るように視えるが


視えない、聞こえないふりをしながら廊下を進んでいく


外の薄い月明かりが差し込んでもどんより暗く


冬なのも相まって刺すような寒さの学校内は怖い



「これでいいのかな、、、?」



言われた通り机からノートを見つけて教室から出る


通って来た時に居たモノ達が不思議と消えている気がする



「あれ、、、?」



学校を出て裏門に向かおうとすると


薄い、濁った膜の様な壁が広がっていて


うっすら向こう側は見えるのに、恐る恐る手を出すと触れるもビクリともしない


何かに閉じ込められてしまった


でも外にクラスメイトの姿も見えない



「どうしよう、、、、っ!」



そうじゃなくても怖いのに、校舎の方から何かが割れる大きな音が聞こえた


眼の前の壁は横にも上にも広がっていて出られそうにないし


何か原因がわかるかもしれないので


恐る恐る音の聞こえた方に向かった





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