夜
伊地知さんから連絡が入り指定の場所に行くと
ストレッチャーの上で横になっている虎杖君と
そのすぐ側に眼鏡を外した七海さんが立っていた
隣の部屋には何か、、、
「虎杖君!?どうしたんですか!?」
駆け寄ると虎杖君は息をしていたのですぐに治療を始める
全身が何かで貫かれており血液もだいぶ失っていた
「特級との対峙、虎杖君は相当攻撃を受けながらも戦ってくれました。精神的にも肉体的にもダメージが強いので家入さんよりも同級生の貴女に治療を受けて話をした方が良いと思い伊地知君に呼んで貰いました。夜分にすみません」
「いえ良いんです、、、ありがとうございます呼んで下さって、、、」
全体的に損傷が酷く普段より治療に時間がかかってしまう
「お礼を言うのは私の方です」
「えっ?」
なんとか治療が終わり眠っている虎杖君の様子を見ていると
深く息を吐きながら七海さんが口を開いた
「この間治療して下さった時、私の魂を護る呪力にも治療を施してくれましたね。おかげで奴の領域内に引きずり込まれても持ち堪えることが出来ました」
「あっ、いえ、、、」
術式と言うか私が治す"方式"は誰にも話していない
呪霊から呪力を吸い取る事、自身の身体に呪力を流して体力を安定させる事は最近知ったけど
治す"方式"についてはおばあちゃんが亡くなる前から知っていた
でも感覚にも近いような内容を誰かに話す自信もなければ
優しい皆にこれ以上心配をかけたくも無かったし
同じ反転術式でも方式の違う硝子さんにも話す事が出来なかった
「対峙した特級呪霊の術式は魂に干渉する。私は奴の術式に対して何の対抗策も持ち得て居なかったので宮内さんに護られました。虎杖君も宮内さんも命の恩人です」
「そう、なんですね、、、七海さんが無事で良かったです」
以前七海さんの核が傷ついていたのはその呪霊のせいだったのだろう
私は人の核のようなモノと捉えていたけどあれはやはり魂だったんだ
それに干渉する力のある呪霊だとほとんどの人間に対して害でしかない
七海さんが今回の任務について要約して話してくれた
私が呑気に過ごしていた間も虎杖君はずっと戦っていたんだ
ついこの間まで楽しそうに話をしてくれていた彼がまた1人寂しい思いをするのかと思うと
傷は治せても精神に対しては何もしてあげられなくて無力を感じる
期限付きとは言え死刑を背負っている彼は
これ以上何を背負わなければならないんだろう