依依恋恋 | ナノ




「っ!!」



音のした方へ向かうと


先程の音の元であろう壊れた校舎


白と黒の犬のような狼のような大きな二匹の動物と共に


男の子が大きな化け物と戦っていた



大きな化け物の他に、先程すれ違ったのに消えていた化け物達もわらわらと男の子を囲んでいる



「くっそ、雑魚でも数が多いっ!」



犬のような動物が化け物達を引っ掻いたり噛みついて消していく中


男の子も俊敏な動きで大きな化け物の攻撃を避けていく



「しまった!」


「あっ!」



男の子が化け物の口から垂れた唾液で足を滑らせた時


それを見逃さなかった化け物が腕を振り上げた



「やめて!!」


「はっ?」



咄嗟に、手に持っていたノートを化け物に投げつけると


丁度角が当たったのか


振り上げた腕を男の子に下ろすこと無く、化け物がこちらを向いた



「あ、、、」


「玉犬!!!」



殺されると思った瞬間、黒い方の犬が化け物に噛みき続いて白い犬も噛みつくと


化け物は力を失ったように倒れた



「、、、、アンタ何でこんなとこに、つーか視えてんのか」


「あっ、えっと、友達の忘れ物を取りに来たら外に出られなくなってしまってそれで、、、」



犬達が化け物を食べ始めたので見ないように男の子の方を向くと


頭から血を流していた



「あの、血が、、、」


「、、、かすり傷だ」


「ちょっと、失礼します」


「っ何を!?、、、!!」



男の子の頭に手をかざして治るように念じる


ほんのりと温かい炎を出して傷が消えていく



「お前、、、反転術式が使えるのか!?」


「は、反転術式?、、、あの、この事誰にも話さないように言われているので、、、」


「治せることをか?」


「はい、化け物が見える事も、治せることも亡くなった祖母に人には話すなって、、、」


「、、、そんな事情があったのに治してくれたのか」


「同じように見えてる人だし、悪い人じゃなさそうだったから、、、あ、あの、外で友達が待っているかもしれないので、失礼します」



外の膜のようなモノが無くなって見えたので


男の子に背を向けて落ちていたノートを拾い上げる


良かった、汚れてない





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