依依恋恋 | ナノ




伏黒視点





俺の腕の中で眠る宮内に


上がった心拍数が戻らない


部屋着だろうか、淡い水色の薄手のワンピース越しに肌の柔らかさが伝わってくる


それに意識が向かないようにする





安心させたかったなんて都合の良い言い訳だ


出会った時から向けられる無垢な笑顔と


宮内の人間性にどんどん惹かれていった


彼女を見つけたのは俺で、救ったのも自分だと勘違いし自惚れて


誰よりも俺が近い場所に居ると思っていたのに


男女問わず愛される宮内に


狗巻先輩や五条先生の宮内に対する態度に焦った


誰と映画を観たかなんて聞ける関係性でもない事が苦しい


雨の時もそうだ


勝手に抱きしめた俺が一番安心させられていた


俺が宮内を救ったんじゃない


宮内が救った数多くの人間の中に


俺も存在しているだけなんだ



「おい、宮内、、、」


「、、、、」



眠ったばかりで可哀想だが


今夜は少し肌寒いし座ったまま抱き寄せた為体勢も悪い



「宮内、部屋で寝ろ風邪引くぞ」


「、、、ふしぐろくん?」



なるべく優しく揺さぶると


瞼をゆっくり持ち上げて


腕の中から俺を見上げるのが



「可愛いな」


「、、、ん?なぁに?」



思わず自分の口から溢れた言葉は


寝起きの宮内には運良く聞かれていなかったらしい





手の中に簡単に収まってしまう小さな白い手を引いて


ゆっくり寮まで歩く


宮内の体が冷えてしまったのか


俺の体温が高くなっているのか


とても心地よかった



「おやすみなさい伏黒君」



そう言ってふんわり笑う彼女は愛らしく


離れる手を繋ぎ止めたかった








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