依依恋恋 | ナノ




私の顔の横に手を付き覆いかぶさっていたのは虎杖君ではなく宿儺だった


至近距離で恐ろしい笑みを浮かべている宿儺に体が震える



「なんでっ、、、」


「さっき小僧を治した時、以前より呪力の動きがよくなっていたぞ」


「っ、」


「お前なら呪胎を孕み産むことも可能だろうがそうだな、その術式に免じて傷めつけずに生かしておいてやろう」



そっと頭を撫でられる



「やっ」


「俺から呪力を奪わないのか?小僧を気遣ってるのか、、、愛い奴め」



私の頭に触れていた右手を顎に添えられ頬を親指で撫でられる


長く鋭い爪が当たる感触がして怖い


胸元で握っている自分の両手が震えてるのがわかる



「お前のこの顔はまるで呪いだな」


「うっ」



恐怖で目に涙がたまる



「イイぞ怯えろ、そしていつでも俺の存在を忘れるな。力を全て取り戻したらお前を俺のモノにしてやる」


「虎杖く、お願い戻って来て」


「、、、心配せずともそろそろ戻る」



息が詰まって上手く呼吸できない中


私の絞り出した声を聞いた宿儺は再び私の頭を撫でて体を起こした


いつも撫でてくれる皆と違い強い恐怖感で私は起き上がれない



「、、、っ宮内!ごめんすぐ戻れなくて!!」



虎杖君が私の体を起こしてくれた途端、安心したのも相まって涙が溢れてしまった



「いた、虎杖君っ戻ってくれてありがとうっ、皆にはっ言わないでっ」



きっと今の話をしたら皆に心配をかけてしまう


体の震えが収まらなくて上手く言葉が出せない



「ほんとごめんな怖かったよな、、、でも宮内が吐き出せるようになったら五条先生とかには話すんだぞ」


「僕がどうしたって?」



声のした方を向くと五条先生が扉の前に立っていた



「どうしてマリンが泣いてるの?」



五条先生の声がいつもより低い


映画はいつの間に終わったのかメニュー画面になっていて


静かなサウンドトラックが部屋に響いている



「ごめん先生!急に宿儺に代わられて宮内に、、、俺すぐに戻れなくて」


「マリン、宿儺に何されたの?」



駆け寄って来た先生の腕の中に閉じ込められる


先生の温もりに安心感が増して嗚咽が止まらないので


必死に首を横に振ることしか出来ない



「、、、言えるようになったら多分先生には話すと思う」


「そう、、、、マリン、ちょっと寝て休もうね」



先生に抱き上げられソファの上にそっと座らされ


先生の指が額に当たったところで私の意識は飛んでしまった






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