依依恋恋 | ナノ




「真希!棘!マリンから離れるな!来るぞ!!」



新田さんが下ろしてくれた帳の中


広いので手分けしようと話していた時


突然パンダ先輩の声が響きその直後に大量の呪霊達に囲まれた



「棘!そっちの塊は頼んだ!」


『爆ぜろ!』



私を囲むように先輩達が呪霊達と対峙する


狗巻先輩側に大量の呪霊が居たので口元のチャックを下ろした先輩が一声で祓う


少し咳き込んでいたのですぐに喉を治療しようと動いた時


私の足が浮いた


地面の中から現れた呪霊の大きな口が私の脚を飲み込んでいる



「やっ」


「マリン!!!」


「クッソ!!」



真希さんの声が響き、パンダ先輩も気づくも他の小さな呪霊達が邪魔をしてこちらに来れないようだ


狗巻先輩はきっと私にも影響してしまうだろうから呪言を使えないでいる



「っあ!」



呪霊がもう一度口を開いてすぐ閉じたので私の体の半分が呪霊の口の中に入ってしまった



「マリン!!」



狗巻先輩が私の名前を叫んでいるのが聞こえた


取り込まれまいと呪霊の口を両手で押す


その瞬間呪霊が炎のようなものに全身を包まれて雄叫びを上げた



「グガァァァァァア!!」



炎の中で呪霊はどんどん縮んでいき見えなくなる


残った炎は私の手元に吸い込まれるようにして消えていった



「マリンお前、、、」



他の呪霊を祓いながら真希さん達も見ていたらしい


私は地面に座り込んだまま自分の両手を見つめている事しかできなかった



「マリン!」



すぐに駆け寄ってきてくれた狗巻先輩に力強く抱きしめられる



「先輩、私、、、」


「2人ともイイ雰囲気のとこ悪いがまだ雑魚が残ってるぞ!」



パンダ先輩が呪霊達を殴りながら叫ぶ


数の減った呪霊達がこちらに押し寄せてくるのが見えて


狗巻先輩が私の頭を自分の胸元に引き寄せたと思ったら



『死ね!』



残りの呪霊が全部消える音がした



「、、、棘ってキレると憂太みたいだな」


「おーこわ」



先輩達の声を聞きながら恐る恐る顔を上げると


気づいた狗巻先輩が微笑んで頭を撫でてくれる



「め"んたい"こ」


「、、、ありがとうございます」



先輩の声が枯れていたので手を当てて治すと


また微笑んで立ち上がらせてくれた


廃団地を出て車に乗るまで、狗巻先輩にはずっと手を繋がれていたので


だいぶ心配をかけてしまったのかもしれない


真希さんとパンダ先輩も何か言いたげだったが


狗巻先輩に「おかか」と一言言われ何も言わない事にしたらしい




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